ロサンゼルスの南、トーランス市に和太鼓のスタジオがオープンしました。
浅野太鼓のブログより。
YABは、このスタジオの音響設計を担当させていただきました。オープンのイベントに合わせて私も渡米し、竣工直前に現場の確認および遮音の測定を行いました。
7月23日に現地到着、24日に大太鼓を使って遮音測定を行いました。遮音性能は問題なく安心しました。訴訟社会でもあるアメリカでは音の問題も非常に気をつかいます。
遮音測定の様子
ASANO TAIKO U.S.スタッフの皆さん
25日の午前は、神主による竣工式および夜はオープニングパーティがあり、26日はいよいよスタジオでの練習が始まります。ワークショップでは、鼓童の藤本吉利さんが指導して、20名が同時に大太鼓をたたく場面があります。この時が、ほぼ最大音圧が発生すると想定して、近隣に伝搬していないか再度チェックをしました。敷地境界周辺では全く太鼓の音は聞こえず、目標を達成することができました。本地域の騒音規制法の規制値は、日本の工業地域に相当し、衝撃音の場合には昼65dB、夜60dBと緩いのですが、隣接してホテルや事務所があり、道路を隔てて住宅街が広がっています。
太鼓連盟会長(左)と藤本さんの共演
20名同時演奏
ここで素晴らしい出会いもありました。
ホテルのフロントでペットボトルの水を買おうとしたところ、日系人の一団のチェックインにぶつかり、何十分も待たされることになりました。でも、待っている間にその団体の一人の気さくな男性と話はじめて、楽しく過ごすことができました。しかも、その方はなんとオープニングパーティの主賓、アメリカ太鼓連盟会長の田中誠一氏でした。
重要無形民俗文化財に認定されている方で、デーヴ・ブルーベックやデユークエリントンとテイクファイブやA列車を演奏し、またライジングサンという、ショーンコネリー主演の映画で太鼓を演奏したそうです。アメリカでの和太鼓のパイオニアです。
鼓童の藤本吉利さんは神がかった演奏をします。その奥様の容子さんの歌は、情感がこもっていて、太鼓をバックにした佐渡おけさは涙が出そうに素晴らしいものでした。
『石見の風』の今福優さん、堂本英里さん、末長愛さんの石見神楽は人々の健康や繁栄を祈願する楽しいものでした。また今福さんの太鼓は勢いがあり爽快なものです。
木村俊介さんは篠笛、津軽三味線、太鼓、何でも来いという感じで、『吉野の山』では、藤本容子さんの歌と合わせて篠笛の音色が、奈良時代か平安時代の華やいだ上品な雰囲気がよく出ていました。
その他、オープンパーティにいらした方は全米各地、サンフランシスコ、フロリダ、サンノゼ、ハワイから、またカナダ、イギリス、アルゼンチンなどからもいらしていました。人種も様々で、アジア系では、日系の人が多いのですが、韓国系や中国系の方もいらっしゃいました。
ワークショップのアトラクション
ワークショップのアトラクションで、表現の豊かさを競う太鼓のコンテストがあったのですが、我も我もと輪から中央に出てきて、踊りながら演奏していました。日系の人もアメリカ人と同じようにノリがよく、見ていて本当に楽しかったです。またリズムもジャズやロックやラップのような雰囲気があり、結構早打ちです。
様々な民族の人と同じ和太鼓をたたいているのを見ていると、平和の尊さを感じます。特に和太鼓の音色にはお寺の鐘のように唸りがあります。この唸りは天に我々の思いを届ける役割があると感じています。世界の平和を和太鼓で届けられればと思います。
またASANO DAIKO U.S. 社長の浅野勝二さん、奥様のジュリアさん、そのお兄さんのYuta Katoさん、そしてスタッフ皆様のご健康と、ご発展を祈念します。