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2022/07/22

ショスタコーヴィッチの交響曲第8番

 

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会が716日(土)の2時よりあった。場所は神奈川県民ホールで、いつもの横浜みなとみらいホールとは違う場所であった。曲目は「ショスタコーヴィッチの交響曲第8番」だけで、これは戦争交響曲ともいわれている。第二次世界大戦の時にナチスがサンクトペテルブルグに攻め込んできた時に、ソビエト政府から、「ソビエトの勝利」を導くような曲を書いてほしいと依頼を受けて、ショスタコーヴィッチが書いたもののようだが、曲はそんなに単純なものではない。ティンパニーとシンバルが大砲のように激しく打ち鳴らされた後、自然を感じる音や雑踏を感じる音などが混ざる。不協和音と暗い響きが主で、心地よいメロディーなどは全く感じられない。明らかに大砲の飛んでくる音、爆発する音と、これとは別に穏やかな響きがあり、自然や人間の日常の営みがあると言っているような気がする。これを聞いてガリレオだったら何て言っていただろう、「それでも地球は回っている」と言っていたかもしれない。

神奈川県民ホールは、2500名ほどが入るホールであり、しかもオーケストラピットが舞台まで上げられていて、舞台鼻より3mほどオーケストラが奥に入って演奏していた。最初はコロナヴィールスのためと思ったが、観客によく聞こえるようにとの配慮ではないかと思った。やはり適正な大きさが必要だと感じた。



2022/07/19

雨音対策

昔、天井桟敷の稽古場公演で、テーマは忘れたが、雨音がぽつんぽつんと永遠に奏でるような音がする公演を聞いた。たぶん音源はガムランの金属の打楽器を木製のバチでうつような楽器だと思われる。出演者は5名、観客はたった3名で、平土間の上に寝そべるようにして聞いていた。非常に入場収入の効率が悪い公演だったが、時々思い出している。とても居心地の良い公演で、満足をした覚えがある。

最近NHK交響楽団の桂冠名誉指揮者のブロムシュテットがテレビで小さい頃に鉄板屋根に当たる音が気持ちよくて、わざわざその屋根の下に来て雨音を聞いたと言っていた。雨の音は自然との対応になるのだろう。ブロムシュテットはスエーデンの人だ。また砂漠の人は、雨音を快適に感じるとのことを聞いたことがある。雨は生きるための水をもたらしてくれるものだ。

またこれに反して、日本では雨が多い。最近は線状降水帯などがよくおこり、大水害が発生することも起きてきている。日本では、植物の生育を促し、雨の音は気持ちの良い反面、洪水との関係も深くなってきている。多分茅葺きの屋根に落ちる音は鉄板屋根と違い、おだやかな自然の音に違いない。たぶん風情を感じる音ではないかと思われる。しかし鉄板屋根の場合には、雨音は風情より災害との結びつきが強くなってしまうと思われる。

何年か前に、東聖建設の依頼で、鉄板屋根の雨音を減らす方法について検討をしてほしいとの依頼があった。そこで雨音について、鉄板屋根の模型を作り、雨音の代わりに、タッピングマシンで、打撃することとした。試験体の大きさは450mm×450mmである。

 なお実験を行った試験体を表にして示した。試験体は、鉄板0.35t+ラーチ合板24tを基本構造として、内部にいくつかの材料を挿入している。

商品名のシンセファイバーはポリエステル繊維吸音板で、150kg/m3、厚10mmと高密度のものである。またグラスウールでなく、ポリエステル繊維吸音板としたのは、同じ吸音材であるが、もし水に濡れた時にでも、水に強いためである。 

表 試験体一覧

1)   鉄板0.35t+ラーチ合板24t

2)   鉄板0.35 t +アスファルト系制振材4t+ラーチ合板24t

3)   鉄板0.35 t +高密度シンセファイバー150kg/m310 mm +ラーチ合板24

4)   鉄板0.35 t +アスファルト系制振材4+ラーチ合板24t×2

5)   鉄板0.35 t +高密度シンセファイバー150kg/ m310mm+ラーチ合板24 t×2

6)   鉄板0.35 t +高密度シンセファイバー150kg/ m310 mm +ラーチ合板24 t +アスファルト系制振材4 t +ラーチ合板24t

7)   鉄板0.35t+ダイケンビルボード9t+ラーチ合板24 


図 試験体および雨音(タッピングマシン)の測定システム


図 振動加速度レベル測定結果比較

加速度レベルLaから音圧レベルLpへの変換式は次式を用いた。

LpLa20×Logf36 dB   

音圧レベルLpからA特性音圧レベルへの変換は次表を用いた。 

表 音圧レベルを1/3オクターブバンドでA特性変換

周波数1Hz

31.5

40

50

63

80

100

125

160

補正値1(dB)

-39.2

-34.5

-30.2

-26.1

-22.3

-19.1

-16.1

-13.2

周波数2Hz

200

250

315

400

500

630

800

1000

補正値2(dB)

-10.8

-8.6

-6.5

-4.8

-3.2

-1.9

-0.8

0

周波数3Hz

1250

2000

2500

3150

4000

5000

6300

8000

補正値3(dB)

+0.6

+1.2

+1.2

+1.2

+1.0

+0.5

-0.1

-1.1


図 タッピングマシン衝撃音のA特性音圧レベル予測値

   実験の結果では、東聖建設の案も含めて考えると、No.5の鉄板0.35 t +高密度シンセファイバー150kg/ m310mm+ラーチ合板24 t×2枚が好ましい結果となり、推奨した。さらに東聖建設は天井裏に遮音層も設けて、実施するとのこと。

完成後に屋根からシャワーの水で、音を確認したが、雨どいに落ちる音しか聞こえませんでした。ただ現実には、何年かたっており、その間、豪雨のこともあり、実際の雨も体験していると思われ、快適な雨音であるといいと思っています。


2022/07/01

狂言 月見座頭の結末

 2022626日(日)NHK Eテレの『古典芸能への招待』で『狂言 月見座頭』が放送された。目の見えない人、視覚障碍者が、虫の音を聞きながら、月をながめて楽しんでいると、通りかかった人が来て、一緒に歌などを歌い、踊りながら風流な雰囲気で楽しんでいた。別れた後、その通りかかった人が気分をいれかえて、目の見えない人に向かって、体当たりをして、さらに振り回して帰っていった。目の見えない人は倒れてしまった後、『この人のにおい』は先ほど一緒に花見をしていた人のにおいだといってつぶやいた、と聞こえた。酒を飲みかわしながら踊ったことなどで、においがわかったと思った。したがってこの物語の『落ち』は、目が見えなくとも犯人はわかったというところだと思った。 

しかし実際の物語は、目の見えない人に向かってぶつかってきたとは、先ほどの風流な人とは大きな違いだとつぶやいたところでおわってしまっているようだ。これはこれで物語としては成り立つが、目の見えない人の理解不足ということになりかねない。

『目が見えなくとも犯人はわかった』という私の先入観は、それはそれで物語としては、『警事コロンボ』のように納得できる結論となるが、現代でも視覚障碍者の交通事故などがあって、ニュースにもなっていて、解決していない問題でもある。そのため『狂言 月見座頭』は非常に現代的なテーマである。さらに人間の感覚には5感、ないし6感があり、周囲に対し、視覚だけで感じるのではなく、この狂言のように虫の音を楽しむ聴覚や嗅覚や触覚や味覚などで感じ取りとる努力が必要とおもわれる。