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2009/03/31

葛飾二葉幼稚園ホールの拡声システム

葛飾二葉幼稚園の園舎のリニューアルに際し、ホールの拡声システムのご相談を受け、既存の音響設備に加える形で、マイクのシステムを提案しました。

2月に、園舎が新しくなって初めての園児たちによる御遊戯会がありました。これまでは御遊戯会は、外部の劇場を借りて行っていたそうですが、今回から、新しい園舎のホールで行うことが出来るようになりました。このホールは2層吹き抜けで明るく、回廊もあり、楽しげです。外部の劇場を借りていたときには、園児たちの声は緊張してしまうために小さかったそうですが、今回は練習場所と披露場所が同じためか、大声を出して歌ってくれたようです。拡声システムもうまく機能したようです。

御遊戯会の様子




撮影:渡辺治建築都市設計事務所 山崎氏

設計:株式会社渡辺治建築都市設計事務所 
拡声設備設置:株式会社フジクラ楽器

2009/03/11

工場の騒音・振動対策の例

このブログではあまり仕事の話が出てきていませんので、本日は、騒音対策の業務についてご紹介したいと思います。

昨年の12月と今年1月に、当社で防音設計を行った工場が無事完成いたしました。1件は新潟市にある平屋S造の金属加工工場、もう1件は東京にあるRC造の印刷工場です。いずれも24時間稼動の工場であり、民家やマンションが隣接した場所にあるため、騒音対策が非常に重要な場所でした。
また、室内騒音は金属加工工場が90デシベル前後、印刷工場は100デシベル近い音が発生します。騒音規制法の規制値は、金属加工工場のある新潟市は45デシベル、東京の印刷工場では50デシベルでしたが、金属加工工場周辺は、暗騒音が低いために、また東京の印刷工場は隣接してマンションがあるために、規制値より5デシベル厳しく考え、防音設計を行いました。無事に役所の環境検査も終了し、現在稼動しています。
工場の騒音対策では、外壁・屋根はもちろんのこと、窓、換気設備に対する騒音対策が必要です。窓や換気は、快適性に非常に関係がありますが、騒音には弱い部位です。

また、精密天秤ばかりの工場の振動対策、清掃工場のIDFファンの基礎の振動対策の設計も昨年行いました。IDFの基礎については、現在工事中です。
製造業にとって厳しい時期ですが、いずれも元気を感じる会社でした。

日経アーキテクチュア2009年3月9日号の広告記事監修



日経アーキテクチュア2009年3月9日号の広告企画「音と建築のハーモニー」に掲載された、「建築空間の“音”をどうとらえるか」という記事の監修をいたしました(記事企画/構成 橋場一男氏)。音は物理的な現象ではありますが、人間がどう感じるかということも分析し、考慮できて初めて音響デザインができます、という内容となっています。
ご興味のある方は、ぜひご覧いただければと思います。

2009/03/09

「神楽坂の至宝が奏でる日本の伝統芸能絵巻」を聴く

3月7日夜、神楽坂近くの矢来能楽堂で、雅楽、能、長唄、新内、日本舞踊の公演「神楽坂の至宝が奏でる日本の伝統芸能絵巻」がありました。
この公演には、神楽坂在住の人間国宝が4名も参加されています。長唄の東音宮田哲男、能楽囃子の亀井忠雄、筝曲の山勢松韻、新内の鶴賀若狭掾です。
神楽坂には、そのほか第一線で活躍されている芸能の担い手がたくさんいらっしゃるそうです。神楽坂の奥深い魅力の元です。

今回の企画のように、古代の雅楽から神楽坂花柳界の芸者衆の舞踊までが一同に舞台に乗るのを見る機会は、めったに無いことだと思います。
能や日本舞踊をそれぞれ別々に見るのではなく、横断的ないし歴史的に縦断的に見ることで、日本の伝統芸能の雰囲気が良く伝わってきました。夕方5時から8時半まで、ずっと座って雰囲気を楽しんでいました。

公演のパンフレットでは、先日、著作である「ドレミを選んだ日本人」を読ませていただいた千葉優子さんが、日本の音楽について説明されています。
日本の音楽・芸能文化は、時代を担った社会的階層の中で生み出され、育まれてきて、時代が変わっても、それぞれの価値を認め、大切に受け継いできたとのこと。雅楽は、5世紀中ごろに中国から伝わったものであるが、平安時代に日本流にアレンジされたものであり、能楽は室町時代に武家社会で大成したもの。箏や三味線などの近世邦楽は、江戸時代の庶民が育んだものであること。しかも江戸時代までは、雅楽は宮廷で、能は武士の間以外では、演じられることは無く、庶民が雅楽や能を見ることは無く、お互いに交流することも無かったとのことです。

日本の音楽の特徴は、そのほとんどに歌や語りがあり、したがって歌を邪魔するような音は避けているということ。特に、持続音を出すリード楽器は避けられてきたそうです。日本人が好むのは、箏や三味線のように爪弾く音の系統だそうです。また、箏の弦を爪でこする「すり爪」、息の音を出す尺八の「ムライキ」、三味線の「サワリ」などの噪音を味わうことが好きであり、また高音を好むといった特徴が書かれていました。それが華やいだ感じを出すのだと思います。持続音という意味では、ヴァイオリンや二胡のように弓で弾く弦楽器は日本では流行らず、能管のような管楽器でも衝撃音のような音で演奏されるのも良くわかります。

神楽坂の芸者衆の日本舞踊が終わって、華やいだ気分で神楽坂を坂下まで歩いたところで、タクシーから華やかな着物姿の人が降りてきました。見ると先ほどまで長唄の三味線を弾いていた人でしたので、ちょっと立ち話をさせて頂きました。神楽坂の人になった気分でした。

マテリアル・デザイン2009-2010(ディテール3月号別冊)に記事が掲載されました



マテリアル・デザイン2009-2010に、ACT環境計画の小林さん、林さんと共同執筆した記事が掲載されました。
機能材編 「吸音材・遮音材」の項です。これまでの事例をまじえて書いています。ぜひお手にとってご覧ください。

本号の特集は、「木と向かい合う」、「環境に挑む」というものでした。
巻頭の、内藤氏と腰原氏の対談では、木造はエコや林業の観点からも見直されているが、400年前の当時の最先端技術であった在来工法の上に胡坐を組むことなく、現代建築を考える必要があると言われています。内藤氏は最後に、「木造をやることで、一方向の思考法しか持たない近代を変えていく1つのきっかけになるはずです。だから、木造が大きなチャレンジになる」とおっしゃっています。
ケーススタディ1では、集成材の籠構造でできた、体育館のようなホールが紹介されていました。大変興味深い形のものです。設計はワークステーション、構造設計は佐藤淳氏。
また、環境の特集の方では、リファイン建築で有名な青木氏と難波氏の対談がありました。青木さんは、サンフランシスコの例では、建物の解体の条件が厳しく、耐震補強に対して改善命令をだすと、届けの翌日から解体できる日本とは大きく違うと話されています。また既存建物を解体して新たにコンクリートを打つ場合と、既存建物の躯体を利用する場合と比較すると、CO2発生量が84%減少するといった話があり、大変考えさせられました。

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