2018/12/28

劇場でない場所での公演

2016年に横浜ボートシアター創立35周年+代表の遠藤啄郎氏米寿記念冊子『「場」の持つ力』が刊行されました。「場(トポス)の持つ力によって、これほどまでに作品世界が生まれ変わり、見えないのではとあきらめていた世界が見えてきたのだ。」とあります。船劇場もまたそういった場です。この冊子のタイトル通りに、場の持つ力を生かした公演を3種類ご紹介します。


画材店での横浜ボートシアター公演

横浜ボートシアターが、9/14から10/1まで、画材店の大森アートポジションで仮面展を行っていました。こちらで9/16(日)、24日(月)、9/30(日)には創作影絵人形芝居が、さらに音楽ライブが9/17(月)、9/23(日)にありました。私は9/23の音楽ライブに伺いました。ちょうどひどい雷雨が降ってきて、びしょびしょになりながら公演場所に飛び込みました。ここは大森駅から線路に沿って東側にあり、ちょっと戦後の雰囲気が残ったような場所です。
画材店の道路側の場所が画廊で、仮面の展示された中、数名で歌や演奏をします。歌は主に「さらばアメリカ」から戦中・戦後の時代精神を振り返ったものでした。お客さんは20名ほどでしたが、道路からも中の様子が見え、いい場所でした。



20181222 神楽坂・香音里(かおり)
横浜ボートシアター樋口一葉作品を語る 「わかれ道」「この子」「闇桜」

神楽坂の駅から約1分間のところにレンタルスペース神楽坂・香音里(かおり)があります。こちらは昔の木造住宅で、8畳と6畳の二間続きの部屋の周辺に廊下がめぐらされている空間に、床の間と書院がついています。6畳の和室の方にはグランドピアノが置かれています。今回は、朗読する人1名と伴奏を行う人1名で、観客は約50名ほどでした。朗読を行うために雰囲気も音響的にもいい空間で、また樋口一葉の作品にもとても合う空間です。「わかれ道」は語り奥本聰、「この子」は岡谷幸子、「闇桜」は吉岡沙耶により朗読されました。また松本利洋によるエレキギターの機微の動きも素晴らしかったです。



横浜都筑民家園での乙女文楽公演

最後に、11/25(日)13:30から14:30まで近くの都築民家園で、ひとみ座乙女文楽の公演がありました。公演の内容は「義経千本桜」道行初音旅です。さらに最後に人形の仕組みと扱い方の説明、および会場から希望者3名による三番叟の演技指導がありました。一人は外国人の方でした。乙女文楽は一人遣いで演じます。3人で行う文楽とは異なり、人形の周囲に人が少ないためにすっきりした感じがします。



2018/12/20

建築学会から床振動に関する新基準が発刊されました

11/8に建築学会のシンポジウムが建築会館で行われ、『建築物の振動に関する居住性能評価基準・同解説』が発表されました。

これまで、この床振動に関する基準は1991年および2004年の『建築物の振動に関する居住性能評価指針同解説』であり、それがずっと我々の解説書でした。

1991年の基準書には振動の変位と加速度の基準値があり、住宅や事務所における振動の基準もありました。2004年版の基準では、加速度が水平と垂直にわかれており、知覚確率を伴った評価の方法となっていましたが、評価の方法は設計者に任せられていました。

今回の2018年の新基準は、評価指針と設計指針を分離し、評価指針として「設計の過程で必要となる、振動とそれに対する居住者の評価との関係を表す指標のみを評価基準として独立させ」、設計指針では「加振力や応答測定点の設定方法など」や「対象とする振動の性状が限定され、振動源ごとに蓄積され」る傾向があるためにそれを分離させたとのこと。
ただし、設計指針はまだ発刊されてはいません。

新評価指針では、鉛直では、住宅と事務所と評価の違いがあり、ほぼ2dBごとにランクが変化し、さらに住宅の方が事務所より2dBほどランクが厳しくなっています。また水平方向の評価方法では、評価は等間隔のランクではなく、また周波数も0.1Hzから30Hzまで幅広く存在しています。

また、非定常の振動についても評価方法が決められています。

鉛直方向では、JISC1510-1995の鉛直特性で重み付けられた振動値に対して、今回の指針では、時定数VL10msが55dB となるときの時間の合計とする、とあります。ただし振動が10秒以上継続する場合や1秒以内にA*10^(1/4)で補正された場合には定常的振動と考えます。
1秒から10秒までの振動については、A*=A×10^(((logT)-1)/4)で補正されます。
道路交通振動のような場合に、ほとんどの時間が55dB以上となる場合にはそのままで問題はないのですが、例えば半分が55dB 以下の場合などは上記の方式を用いることになります。
また床の衝撃振動で、一人歩行のような1秒以下で衝撃がある場合には、多少低減されることになります。ただし何人もの人が通り抜ける場合には低減されません。
またゴムボール落下のような(例えば5秒間隔など)、等間隔で振動が発生するような場合にも、多少振動が低減されることになります。

振動の低減効果があることは、何か目的があるような場合にのみ必要な気がします。例えば夜中にある滅多にない鉄道車両の走行振動などが、それに相当すると思われます。

弊社のように、実験などでゴムボールを落としたような場合には、実験結果を低減することなく、単に最大値を求めて、比較することが好ましいと思われます。
ただ、スラブの振動測定をたくさんしてきましたが、評価方法は今回の指針を元に修正する必要があると思います。

左から1991年および2004年の『建築物の振動に関する居住性能評価指針同解説』、
右が今回(2018)の『建築物の振動に関する居住性能評価基準・同解説』