2014/12/25

スペインの音響技術者がYABに加わりました

今年10月から、スペインの音響技術者アントニオ・サンチェスがYABのメンバーになりました。彼はグラナダ大学の建築音響の修士課程を出て、その後昨年9月から1月まで東京工業大学の機械工学科の研究室に留学しており、その際に知り合ったのがきっかけです。大学在学中には同済大学(トンギ大学)で四川地震の研究を行い、その間に中国語も習得し、他に英語やフランス語も話せるなど、語学が堪能です。 

入社から3か月、その間にヘルムホルツ床の開発実験やスラブ解体騒音振動の測定、床振動測定、騒音測定など、すでに様々な仕事で活躍してくれています。

彼の故郷はスペインの南、アンテケラという美しい町で、歌のマラゲーニアで有名な地中海に面したマラガから近く、グラナダからも比較的近い場所にあります。この地域はアンダルシア地方で、フラメンコでも有名な場所です。彼を通じて、スペインの音楽や文化、おいしい料理などに興味が湧き、だいぶスペインが身近に感じられるようになりました。


重量床衝撃音測定中


2014/12/09

東京工業大学講堂が登録有形文化財に

東京工業大学70周年(昭和51年当時)を記念して、卒業生から寄付を募って建設された講堂が、登録有形文化財に答申されました。

東工大の清水先生(音響)と、この話をしたことを機に、当時の建築学会に発表された論文をいただきました。
「東京工業大学講堂の音響特性について」(日本建築学会関東支部第21回研究発表会1957年1月)で、筆頭が勝田先生、次に我恩師で当時助手であった松井先生と、同じく研究科学生であった浅野昭壽さんが執筆されています。

浅野さんはその後NHKを経て、現在は弊社の技術顧問にもなっていただいている方です。浅野さんに論文をお見せしたところ、ぜひ講堂を見学してみたいとのこと。清水先生に依頼し、大学許可をもらって10月9日に見学をさせていただきました。

講堂ができたのは論文から推定すると1956年と思われますが、このころ竣工したホールとしては、神奈川県立音楽堂(1954年(昭和29))、旧NHKホール(1955年(昭和30))、杉並公会堂(1957年(昭和32))で、本講堂もホールの草分け的な存在になります。

松井先生の論文でも、「建物の性質上講演、講義を主目的とし、他に演劇、音楽、映画等の場合を考慮に入れて次のような音響設計を行った。」とあり、音楽も意識していたものと思われます。論文には1956.11.18工大音楽部定期演奏会、聴衆約500名入場とあり、その時の残響時間測定結果が約1.0秒で平坦特性となっています。室容積は4244m3、座席数は868席、神奈川県立音楽堂が1331席で1.2秒ですから、当時としては音楽堂の残響の長さと同じようなところにあります。ただし、最適残響時間のグラフ(B.F.Day他 BuildingAcoustics 1969刊)によれば、1秒は講堂に最適となります。

浅野さんは講堂に行って、客席に座りながら感心していらっしゃいました。当時、内幸町の旧NHKホールとどちらが早いかわからないが、設計法が白紙の状態の時に、よくこの天井の高いホールができた、と。また舞台側が反射性、客席側が吸音性であることや、舞台周りの拡散性の配慮や響きもちょうど良い感じであるとおっしゃっていました。
浅野さんの当時の記憶は、連日NHKの残響室で吸音材の実験をしていたことだそうです。
私にとってもこの講堂は学生時代の思い出深い場所であり、見学ができて、いい機会をいただきました。