2018/08/09

荏田地区納涼夏祭り大会にお囃子で参加

地元の荏田地区の納涼夏祭りにお囃子として参加しました。当初は7月28日(土曜日)に開催予定でしたが台風12号が接近し、翌29日の日曜日に延期されました。場所は赤田西遊水池です。当日は台風一過で朝から良い天気で、お囃子組は2時から設営の準備をし、トラックの荷台を舞台として、4時から本番が始まりました。舞台に立つと太陽の強いこと、演奏を始めるとくらくらする感じで、目に汗も入って、大変でした。屋外なので音が消え行ってしまい、音を力強く出さねばいけません。しかしやはり遠くまでは伝搬しない感じです。まだまだ練習が必要です。

その他の出し物は、小学校の生徒によるソーラン節ダンス、宗とも子さん(ソプラノ)の歌で主にミュージカルの曲、またおそらくブラジル人による本場サンバダンス、中学校の生徒による吹奏楽でした。7時半ごろから盆踊り、そして花火と盛りだくさん、屋台もたくさん出ていて、かなり楽しみました。



2018/07/27

杉山スタジオオープン

2018年7月7日(日)に杉山スタジオのオープニングパーティが行われました。場所は渋谷のセルリアンホテルや大和田ホールの近くにあるマンションの1階にある、グランドピアノを2台設置した音楽スタジオです。
当日は杉山先生のたくさんの教え子や同僚の方がいらして、皆さんピアノを弾いて楽しまれていて、こちらは素晴らしい演奏をたくさん聴くことができて大変楽しい時間を過ごすことができました。

オープニングパーティ

スタジオの正式な名称は杉山ムジーク・アカデミー渋谷スタジオです。建て主は杉山哲雄先生、元横浜国立大学の音楽の先生です。建築設計は有限会社濱口建築・デザイン工房の濱口オサミ氏。床は檜の無垢材、壁・天井は赤松で仕上がった柔らかな雰囲気の木質空間となっています。弊社は濱口氏の設計に音響の観点からお手伝いをさせていただきました。

スタジオの大きさは、基本的には約5.8m、8.0m、天井高さ2.5mの矩形の部屋です。長手の壁はそれぞれ水平方向に約1/20の傾きを持つジグザグの壁とし、入り口側の壁のみ下見板形状として、フラッターエコーを防止しています。下見板形状により、平行壁面間の角度が一部上向きとなり、水平方向に音が回遊することも防ぎます。天井は2.5mほどで反射音が強いために、吸音材シンセファイバーを着脱可能な状態に設置して、天井だけで音響調整を行う方法としました。音は主に水平方向に広がり、音に包まれるような空間を目指して音響設計いたしました。

またピアノの演奏音が隣戸にできるだけ影響が無いように、浮構造による遮音対策を行っています。ピアノの音は室内で100dBAと想定。浮構造にすることで隣接の部屋では、おおよそ65dBA低減できると考えています。場合によってはグランドピアノの音は100dBAよりさらに大きい場合があるので、注意が必要です。

ピアノ室などの音楽室は防音のため浮構造を用い、しかも床の浮構造は一般的にはコンクリート浮床とします。しかし今回はコンクリートが使えないために木製としています。その場合には、床下空間の空気層の共振周波数が可聴域にあるため遮音性能を低下させてしまうため、ヘルムホルツ共鳴器を内蔵する床を採用しています。この工法はUR都市機構と7~8年間共同で開発してきたものですが、まだ実験室での施工しかなく、今回は初めての実施物件です。基本的には床に空洞部を設け、床下空気層の共振周波数に合わせて動吸振的に、ヘルムホルツ共鳴器を構成して床下空気層の共振を低下させ、振動伝達率を低減する手法です。
 
天井の浮構造はスラブから吊らず、天井の荷重は壁に持たせる構造となっています。吊り防振ゴムを用いるより遮音性能は向上し、工事時、あと施工アンカーの穿孔騒音の問題もなくなります。またあと施工アンカーの施工不良による天井落下の不安もなくなります。

また音響性能に直接関係ありませんが、外壁に設置されている150φの換気口から外気が直接室内に取り込まれた場合、とくに夏の暑い雨の時などに室内が冷房で冷やされていると、湿度100%の空気が室内に取り込まれ湿度が上がってしまうため、多少熱交換ができる換気システムを窓際に設置しました。径30mmのパイプ10本を換気口から分岐して、細い管を通すことで、温度調整と湿度調整を行うこととしました。パイプオルガンのような設計および施工は設計者ご自身です。

換気システム

吸音材の効果は、500Hzの残響時間が天井の吸音材無しで1.30秒、吸音材を設置すると0.97秒と変化して、はっきりと効果がみられています。また音声明瞭性や音楽の明瞭性からも吸音材が効果的なことが分析されています。さらに、もう少し吸音材を追加した方がよいということになり、0.5m角の吸音材をあと更に10枚追加してほぼ天井全面に設置することになったようです。また、カーテンも吸音効果のあるビロードのカーテンを設置するなどの検討をするとのこと。

今後の杉山スタジオのご発展を祈念しております。

2017/12/20

「道成寺の鐘」状の風力発電機

能楽に『道成寺』という話があります。裏切って鐘の中に逃げた男性を清姫は蛇になって嫉妬の炎で焼き殺し、さらに後世に鐘を再興する際にも怨霊となって現れて鐘を引き落としてしまう話です。以前、某能楽堂を見学させていただいたときに、楽屋に道成寺(能)の大道具の鐘が置かれていました。単なる紙でできた張りぼての大道具ではなく、鉄のフレームに布が貼られているもので非常に重量があり、物語を思わせる緊迫感が漂っていました。鐘の端部は布が巻きつかれていてクッションの役目をしています。

物語とは全く違う方向性からですが、その部分に注目して、この形状で風力発電機のアイディアが生まれ、ずっと考えています。すなわち鐘とその上に接続した棒で共振系を構成します。風で振動しやすいように設計します。

全体の構成は、長さ20mほどのプラスチック製の柔らかな筒、鐘状のフレーム、その下端にはリング状の発電機、そこには上下2段のコイルリングがあり、リングの中で逆方向に進む120度に固定された3個の磁石でできています。

風の左右の圧力を効率的に回転エネルギーに変換する必要があります。そこで柔軟性のあるパイプに当たった風を衝撃的にとらえ、下部の鐘を固有振動数で振動している状態に合わせて、しなることで位相を遅らせて加振させます。鐘が前後左右に規則的に振動することで2リングの磁石を逆方向に回転させ、発電します。逆方向に回転させるのは鐘が回転しないようにするためです。

普通の風車による風力発電機のように発電機が100m上空にあるのではなく、一番下部にあるためにメンテナンスも容易であり、また雷にも強いはずです。まだ単なるアイディアですが、いつか実現ができるといいと思っています。
用途は主に農村の施設などを想定し、あまり水田や畑に影を落とさず、大きな機械ではないので、場所も取らず、どこにでも設置できるように考えています。
一緒に研究してみたいと思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ声をかけてください。

イメージ

2017/10/24

荏田宿のお祭り(2017)

昨年3月、地元荏田宿のお囃子の復活を目指して、お隣町の驚神社の宮元囃子連の指導を仰いで始めた練習も、ほぼ1年半が過ぎました。昨年のお祭りでは、お囃子の4曲の内のはじめの1曲目、破矢のみで参加しましたが、今年は4曲、「破矢」、「鎌倉」、「くにがため」、「四丁目」を篠笛で練習し、完璧ではないのですが参加することができました。後はひょっとこ踊りの伴奏の「いんば」という曲があり、これを覚える必要があります。9/30、5:30より9:00ごろまで宿自治会館前で宵宮、自治会役員や剣神社の関係者など約100名ほどが集まり、お囃子の演奏をバックに親睦を交わしました。

荏田宿の祭りの宵宮(前夜祭)
荏田宿の祭りの宵宮(前夜祭)
10/1、祭り本番、子供神輿とともにお囃子の屋台で荏田の町中を練り歩きました。老人ホームにも3か所行き、お囃子や獅子舞、ひょっとこ踊りを披露しました。とにかく拍手と笑顔で迎えていただいて大変ありがたい気がしました。まだ驚神社の宮元の方々の助けが無ければひょっとこ踊りはできませんが、来年はお祭りの日程も重なっているようで独り立ちしないといけません。

屋台

老人ホームでのひょっとこ踊りの披露
10/7、10/8は、荏田宿お囃子連の先生方の驚神社宮元のお祭りでした。10/7は宵宮、ここのお祭りはかなり盛大です。お囃子だけでなく、大人神輿が町中を回っています。本番の10/8は昼の11時、平崎橋交差点近くで、4つの地域のお神輿や屋台が集まり、それぞれの威勢の良さを競い合います。その迫力には驚き、大変楽しめました。荏田お囃子連はこの域に達するのはまだまだ何十年も時間がかかるのではないかと思います。驚神社の屋台では子供のお囃子もあります。荏田のお囃子連もこのように子供が参加していてはじめて何十年も継続できるようになると実感をします。

宮元の宵宮

平崎橋付近での4つの地域の競い合い
朝日新聞(2017.10.4朝刊)の連載記事の「てんでんこ」で、「音楽の力」という節がありました。大槌町の人々がばらばらに避難しているが、花巻の音楽療法士の三井さんが次第に気がついたのは、「(避難されている)皆が好むのは、童謡や流行歌ではない。地元に古くから伝わる甚句や大漁節などだ。」と書かれています。
お囃子もそうですが、長い年月、同じ曲を何度も何度も毎週のように地域で歌ったり聴いたりしているので、地域の人たちの共通の感覚ができているからだと自分の経験からも感じます。

また毎週練習をしている中で感じるのは、我々は去年始めたばかりですからうまくいかない、失敗することも多いですが、それでも先生に怒られることがない。皆が長く続けるためには独特の教え方があると感じます。そのうちに何とかなるだろうという余裕の気持ちです。

2017/10/10

岐阜の芝居小屋 加子母明治座・白雲座の音響調査

ベルリン工科大学の研究者と一緒に、岐阜県の「かしも明治座」、「白雲座」の音響調査をしました。メンバーはベルリン工科大学のClemens Buttner氏とProf. Dr,Stefan Weinzierl、東京大学生産技術研究所の助教 森下有氏、YABのアントニオ・サンチェスと藪下 満の5名です。

9月25日(月)に横浜から車で出発し、夕方に加子母村に到着しました。その日は、「かしも明治座」で12面体無指向性スピーカによる音響測定を行い、翌日の午前中に「白雲座」で12面体無指向性スピーカおよび可聴化(Auralization)用のボックススピーカでインパルス応答の計測、さらに3Dレーザースキャンの空間測定も行い、午後はまた明治座に移動してボックススピーカによる音響測定を行いました。翌日9月27日に無事帰路につきました。

かしも明治座の測定(1)
かしも明治座の測定(2)
白雲座の測定(1)
白雲座の測定(2)


今回の測定の目的は、Clemens Buttner氏による日本の明治期以降のヨーロッパ音楽の導入期の演奏場所の音響特性の調査などです。2年ほど前には、ほぼ同じメンバーで金丸座、内子座、大隈講堂、川越鶴川座を音響調査しました。今回はその第二段となります。

以前からブログでもご紹介している通り、YABでは芝居小屋の音響調査を行っています。2011年には神奈川大学との共同研究のまとめとして、「芝居小屋の音響特性」の論文を技術報告集に報告しました。その後に、Clemens氏に会い、ベルリン工科大学との共同研究が始まりました。2014年には、ポーランドで開催されたFORUM ACOUSTICUM 2014 in KRAKOWにて、「Acoustical Characteristics of preserved wooden style Kabuki theatres in Japan」と題して、八千代座、村国座、嘉穂劇場、金丸座、鳳凰座の音響シミュレーション結果をClemens Buttner氏、Prof. Dr,Stefan Weinzierlと神奈川大学の安田先生と藪下で発表しています。
また今年の建築学会大会では、アントニオと森下先生、Clemens氏と私で、「川越市鶴川座の音響的復原 ―3Dレーザースキャンの応用-」と題して発表しています。芝居小屋の音響の研究が広がっていることを嬉しく思います。
私としては、芝居小屋の空間構成を現代の劇場設計に生かせないかということと、この音響特性から音声を伴う音楽にはどのような音響空間が好ましいかを今後探っていければと思っています。

今回、加子母村では、森下先生の知人の中島工務店社長の中島さんに大変お世話になりました。かしも産直売所(木造ラーメン構造)、ふれあいコミュニティ施設(木造、子供と老人施設、安藤忠雄設計)、ふれあいのやかたかしも(コミュニティ施設、在来軸組み工法の大型木造建築)、設計コンペでできた木造の加子母小学校、そして保存修理を行った明治座、またキャンプ村などを案内していただきました。また村の集落は、ほぼ同じようなスタイルの木造民家で、周辺の山々と調和していて大変好印象でした。中島工務店は木構造の最先端の技術があり、村の発展に貢献していると感じました。

加子母明治座前で、右からステファンさん、加藤館長さん、アントニオ、森下さん、私(藪下)とクレメンスさん

2017/09/21

渡辺翁記念会館のコンサート (山口県宇部市)

建築学会中国大会が8/31~9/3まで広島工大で開かれ、我々は9/2~9/3参加し9/3の午前中にアントニオが発表をしました。発表は無事に終了し、多くの方から質問もいただき手ごたえを感じました。

発表の後、私は新山口まで古くからの友人に会いに行きました。そして以前から気になっていた宇部にある渡辺翁記念会館(村野藤吾設計)に車で連れて行ってもらいコンサートを聴きました。
渡辺翁記念会館
ちょっと遅れて到着したために2F席になってしまいましたが、音は非常に大きく聞こえ、びっくりしました。たしかに噂に聞く素晴らしい音です。一番後ろのティンパニーの音もはっきりと方向感を持って大きく聞こえていました。

2階席から
主催および演奏は、宇部市民オーケストラ(指揮 高橋 敦)で、曲目は1.ムソルグスキー交響詩「禿山の一夜」、2.チャイコフスキーピアノコンチェルト第一番、アンコール「オルゴール」、3.チャイコフスキー交響曲第一番「冬の日の幻想」でした。われわれは2曲目のピアノ協奏曲から聞くことができました。ピアノ演奏者(尾形大介)も迫力がありました。

渡辺翁記念会館は今年で開館80周年になるそうで、80周年イベントがたくさん企画されていました。開館は1937年(昭和12年)です。昭和2年(1927)、初めての音響設計とされている早稲田大学大隈講堂が完成、昭和4年(1929)日比谷公会堂、昭和5年名古屋公会堂、そして昭和12年宇部市渡辺翁記念会館、同年、浅草国際劇場が出来ています。中之島中央公会堂は大正7年(1918)に開館で、なかではずいぶん先を走っている公会堂です。それでも渡辺翁記念会館は、公会堂建築のほぼ先端にいます。

村野藤吾は1891年生まれ、1984年に亡くなりました。工業高校を卒業後、八幡製鉄所で働いていますが、1913年に早稲田大学の電気工学科に入学し、その後建築に転入して、1918年に卒業しています。渡辺翁記念会館の完成は約46歳のとき。このホールの音響設計は大隈講堂の設計方法を参考にしたかどうか気になるところです。大隈講堂は、おそらく舞台の音が観客席に効率よく伝搬する様に設計されています。断面形状が放物線のようになっています。大隈講堂は以前に3Dレーザースキャンで空間測定とインパルス応答で音響測定も行っているので、今回建築学会で発表した川越鶴川座と同様の方法で近いうちに分析してみようと思っています。

渡辺翁記念会館も天井の形状を見ると、天井からの反射音が直接音を補強しているとみられ、そのために大きな音に聞こえるのだろうと思っています。

天井の形状
村野藤吾は宇部に縁があるらしく、旧宇部銀行本店も設計しています。現在はヒストリア宇部という市の建物になっていて、Caféがあり、空間の貸し出しもしています。オーケストラが練習できそうな大きさの講堂(約13m×16m×約10m(推測))の様な空間もあります。

ヒストリア宇部(旧宇部銀行本店 村野藤吾設計)

宇部市は当初、石炭産業で急速な発展を遂げています。その基礎を築いたのが、渡辺祐策翁で、石炭と石灰岩をつかってセメントも製造していました。いまは、石炭は掘りつくしてしまい、宇部興産として主に化学産業分野で活動しているようです。宇部の海岸側に広大な工場があります。
ただ町はどこにもある老齢化と人口減少で悩んでいるようです。新しい若い人を受け入れられる産業が必要と思います。

しかし一方で、この地は、ユニクロの柳井氏の出身地だそうで、大きな工場もあるとのこと。また元首相の菅直人氏もここの宇部高校(私の古くからの友人もここ出身)にいたようです。その後、東京都の小山台高校に転入し、東工大に入っています。私の高校・大学の1年先輩になります。

また、新しいエネルギーも感じる場所もあります。隣の小野田市に焼野海岸という浜があり、ここはきれいでした。人工物はほとんどなく、隈研吾設計のカフェが中央に存在しています。行ってみたら残念ながら満席で入れませんでしたが、ちょっと覗くと2階は四角のテーブルを囲んで5~6名の白髪の日本人、対するはヨーロッパ系と思われる5~6名の外国人です。何かプロジェクトをはじめようとしているかなという雰囲気。そうであれば面白いです。ここから眺める夕陽は最高です。反対側は九州が見えました。

Sol Poniente 隈研吾設計