今年の建築学会大会は札幌の北海道大学で、8月30日(金)から9月1日(日)まで開かれ、私は9/1午後、3編の論文発表に参加しました。
一つは『高性能遮音二重床の開発その4 築40年を超える団地での測定結果』と題して 堀内氏発表、二つ目は『Helmholtz共鳴器を有する高性能遮音二重床の開発 その1 2質点系モデルに基づく検討』と題して、神奈川大学安田先生発表、三つ目は『Helmholtz共鳴器を有する高性能遮音二重床の開発 その2 2質点系モデルと実測との比較』を私が発表いたしました。
昨年の建築学会では、ヘルムホルツ共鳴器を有する二重床の開発結果を発表しましたが、このタイプのものを施工性やコストの低減を目標にユニット化して、スラブの薄いストック住宅の床改修に適用し、バングマシンで低減量をL数で-10実現したことを発表しました。またこの床が、なぜ床衝撃音を低減できるのかを、床および床下に開けた孔の頸部の空気の質量と、床下空気層およびヘルムホルツ空洞部の空気のばねなどで2質点系モデルを構築し、空洞部の大きさの効果や、穴の数の変化、床下空気層の厚みの効果、防振ゴムの影響などを解析したものです。
三つ目は、2質点系モデルの振動伝達率と、床衝撃音の低減効果、およびスラブの振動応答の低減効果を比較して、理論と実際がよく対応していることを示したものです。
今年の発表に対しては理論的な展開もあるために、信用度が深まったせいか、温かな、好意的な質問が多かったと感じました。
前日の8/31の午後は、パネルディスカッション『マンション再生の可能性と限界-建築社会システムはどう再編すべきか-』を聞きました。
昭和40年代に建設されたストックRC集合住宅は100万戸ほどあると言われ、建て替える方法もありますが、それより躯体を生かして改修し機能を再生する方法が、持続可能な社会をつくる上で必要と思われます。
床衝撃音などの居住性能以外に、居住者に高齢者が多くなってきたことでバリアフリー化、設備の更新などの基本的な機能の更新、構造的な耐震性の向上などのほかに改修工事の静音化などの工法、さらに団地再生のための法律上の制度の整備などが必要のようです。現代の大きな課題です。