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2013/05/10

建築音響研究会(2013.4)の発表


4月22日(月)、音響学会の建築音響研究会が、東京の田町にあるキャンパス・イノベーションセンター東京で開かれ、『Helmholtz共鳴器を有する高性能乾式二重床の開発-2質点系モデルに基づく検討-』の発表を行いました。発表は、共同研究者の神奈川大学の安田先生です。
この2年間、UR都市機構と共に『高性能乾式二重床』の開発を行ってきましたが、その高性能の理由について、2質点系の運動方程式を解いて説明しました。
この床は、63Hz帯域において、重量床衝撃音がスラブ素面より約10dB低減します。

2質点とは、支持脚の防振ゴムと床下空気層によるばねで支持された二重床の質点と、ヘルムホルツ共鳴器の中空部をばねとして、共鳴管の中の空気を質点としたシステムを指します。
2質点系ですから共鳴周波数を二つ持ち、今回開発した床では約25Hzと約90Hzにあり、その間の63Hzを含む周波数帯域では、振動伝達率が小さくなります。いわゆる動吸振の様な仕組みで、二重床の振動を押さえることで、床衝撃音を低減します。

安田先生のHelmholtz床の理論的な検討により、どうすれば良い性能が得られるかが検討しやすくなりました。Helmholtzの共鳴器は、自由空間にある場合には、その共鳴周波数はHelmholtzが1862年に発表した理論的な計算方法と一致しますが、床に用いた場合には、共鳴管を挟んで中空部と床下空気層との連成系になってしまい、どの周波数で効果的か簡単には予測できなくなってしまいます。今回の理論的な展開で、高性能二重床の開発が大きく進歩したと考えています。

当日の開催報告(PDF)です。