しばらく前の話になりますが、横浜ボートシアターの試演会は5月11日(土)と12日(日)と二日行われ、12日に行ってきました。
現存する説教節は「山椒大夫」、「刈萱」、「信徳丸」、「小栗判官」、「信太妻」、「愛護の若」の五つだそうですが、「愛護の若」だけは舞台化された記録がなく、また一切曲が残っていないものだそうです。今回の公演は、まだ朗読劇の形をとっているのですが、将来は横浜ボートシアターのヒット作『小栗判官照手姫』のように仮面劇にする予定とのこと。演出の遠藤さんは、80歳を超えていますが、新作に挑戦しています。
あらすじは、継母の子供いじめで、子供は滝壺に身を投げて自殺、その後、助けた人も、いじめた人も108名全て、身を投げて終わるというもの。
「いじめの本質をついた」説教節のおどろおどろしい迫力を感じました。何も救いがないような話なのですが、後味がそうでもないのは、腑に落ちるところがあるからだと思います。
今回は朗読に、エレキ三味線(説教節政太夫)やエレキギターおよび太鼓などの打楽器(松本利洋)の伴奏がついています。これがまた物語のおどろおどろしさを付加します。今回は朗読劇でしたが、俳優が仮面をつけ演技をすると、ますます人間の欲がむき出しになって表現されそうです。仮面劇の完成が期待されます。人形は遠藤さんが腱鞘炎になるほど、我を忘れて作成しているようです。