家庭用のエアコンや業務用のエアコンは、多くの場合には室内機と室外機に分かれています。室外機には空調用の室外機と冷凍用の室外機等がありますが、いずれも騒音の大きなファンとコンプレサーが内蔵されているため、音が大きく、外に置くように作られています。業務用のものは、大きなものでは70dBAほど出るものもあります。設置場所は地面に置く場合もあり、また屋上の一部に設置する場合もあります。稼働時間は使用する時間帯だけの場合もありますが、冷凍室外機のように24時間稼働する場合もあります。また一台だけの場合もありますが、複数台または数十台の場合もあります。1台の室外機にコンプレッサーが複数台入っているものもあります。いづれにしても隣地に民家があれば何らかの騒音対策が必要となります。
騒音対策方法は防音塀を建てることが一般的です。ただこの防音塀が隣地に対して目障りの場合もあり、日照の問題も生じる場合があります。また隣りの建物が大きい場合には、上から見下ろせるようになり、遮蔽効果が少なくなる場合もあります。さらに屋上に設置しても、隣が高層マンションのような場合には、見下ろせるようなことが生じ、回折減衰が期待できないこともあります。
また室外機の位置によっては、室外機を設置した人の建物の外壁がある場合があり、敷地境界に防音塀を立てて回折減衰計算を行っても、建物からの反射音も存在し、計算通りにはいかない場合も出てくます。さらに塀で囲むと室外機が雪で埋もれてしまう場合もあります。
様々な理由で防音塀が設置困難な場合には、排気側及び給気側にサイレンサーを設置する場合が現実的です。多くの場合は特注で室外機の外部に鉄等のフレームを作り、サイレンサーをそのフレームに取り付けることになります。サイレンサーの基本的な形は消音エルボを利用したものになります。納まりやメインテナンスをよくするために、できればメーカ側でサイレンサーを用意できるといいと思っています。または室外機の発生騒音をより静かなものに改良できることがもっとも好ましいとおもいます。
また室外機が屋上に設置されるときには階下にある住戸に影響をしないように、防振ゴムや防振ばねなどで固体音対策をする必要があります。また室外機にコンプレサーが2台以上ある場合には唸り音が発生しないように回転数の大きく異なるものなどを設置するように注意が必要です。唸り音は耳で聞こえないような場合でも隣地に影響がある場合があります。
上の写真は三菱電機のビル用マルチエアコンの室外機のカタログの外観ですが、この形に、吸気および排気部分のサイレンサーを検討します。
室外機の外側に鉄のフレームを組み、その上部には排気用のサイレンサーを取り付け、下部には吸気用のサイレンサーを設置します。おおよそ対策目標は10dBAと考えました。吸音材はポリエステル繊維吸音材(シンセファイバー等)で厚50mmを考えています。この吸音材は防湿性能があります。
図 断面図(下部:吸気側サイレンサー、 図 下部の平面図(吸気側サイレンサー)
上部:排気側サイレンサー)
図 断面図(上部:排気側サイレンサー) 図 上部の平面図(排気側サイレンサー)