にっぽんの芸能の『今かがやく若者たち』で紹介された箏の曲『脆性ノスタルジア』が印象的でした。作曲者は冷水乃栄流(ひやみずのえる)です。曲の意味は壊れやすいノスタルジアというような意味と思われますが、作曲者は現在東京芸術大学の大学院に在籍中で、若い人です。曲はキラキラとした美しい箏の音に、時々壊れそうな音が混ざっているような印象的な曲です。
この曲名の中の『脆性』という言葉には37年前の1985年、御巣鷹山日航ジャンボ機の墜落事件を思い出されます。事故の原因は、機体後部の『圧力隔壁の脆性破壊』でした。この言葉は離着陸を繰り返す中で、圧力隔壁がその都度変形し、脆性破壊を起こしたものだというものです。当時の見解で,現在ではどう解釈しているかは気になるところですが、次第に劣化する体のような感じにもとらえました。
脆性ノスタルジアの作曲者がどのような感覚でこの名前を設定したか、よくわかりませんが、毎年来る御巣鷹山日航ジャンボ機墜落事件の追悼式で、この言葉を聞いたことがある可能性もあります。物理的用語が音楽の発想に影響を与えたというのはあらたな出来事ではないかと思います。