日時:2025年5月6日(火振休)15:00開演
場所:昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ
出演:指揮者 キンボー・イシイ
チェロ独奏 笹沼 樹
管弦楽:東京交響楽団
曲目:スラブ舞曲第一番
チェロ協奏曲 休憩
交響曲第九番「新世界より」
チラシによれば、ドヴォルザーク(1841~1904)はチェコ共和国で生まれ、51歳でニューヨークに渡り、52歳で交響曲9番「新世界より」を作曲したと。このほか弦楽四重奏曲「アメリカ」、「チェロ協奏曲」と、ボヘミアの音楽や黒人霊歌をクラッシクと見事に融合させ、後世に残る作曲をしたと。1曲目のスラブ舞曲も、2曲目のチェロ協奏曲もいずれもリズミカルで力強く、しかもボヘミアの雰囲気もあったとてもいい曲だった。
後半の「新世界より」は、田園の雰囲気もあり、童謡の赤とんぼを思い出すような田園の景色を感じる部分もあった。クラッシク音楽もウイーンから次第に東に移動していく過程も示しているように思う。
このテアトロ・ジーリオ・ショウワというホールは、建築設計は松田平田設計で、ホームページによれば1367席、客席はオペラハウスのように3層に客席を取り囲むような形であった。客席は3階までほぼ満席であった。舞台・客席もオペラやバレエができるような形で出来ているような感じだが、演奏中から気になっていたのだが、舞台の周囲にある天井および側壁を囲む膜?が、どうも布製のような気がしていた。公演が終わった後に舞台に近づいてみると、布製の側方反射板および布製の天井反射板でまず取り囲み、さらに可動の衝立反射板が後壁部分に設置されている。しかも音が拡散しにくい平面で構成されている。布製の反射板は、音響的には吸音性であり、ほぼ視覚的なだけの反射板である。しかも側方の反射板は可動のプロセニアムのところまでなく、脇から見ると舞台後ろの設備などもよく見える状態になっている。したがって指揮者の位置では舞台の演奏者の音が側壁から反射してこないことになる。音響的に言えば舞台音響の設計はしていないと同じだ。したがって指揮者をはじめ、演奏者も演奏がしにくいと思われる。クラッシク音楽も公演内容に含めるならば、将来的にはこれらの布製の反射板を、音響性能の良い板製に変更すべきものと思われる。
本コンサートは、川崎・しんゆり芸術祭アルテリッカ4/6~5/11の一部になっている。この中にはクラッシク音楽だけでなく、オペラやフラメンコやジャズや落語や和太鼓や映画や演劇などもあり、場所も様々なところで行っている。クラッシク音楽に重点を置く東京フォーラムの内容よりこの方が、邦楽もあり、音楽的にバランスがとれているように思う。
写真:公演が終了した後、撮影した。
写真:舞台の側方を撮影した。可動プロセニアムの間には舞台裏側が見える。
写真:客席方向を見た。客席は3階席まである。
表:川崎・しんゆり芸術祭プログラム