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2022/04/18

自然エネルギーと蓄電

 

最近 東北地方で、地震(2022.03.161130分ごろ福島県沖で震度6強の地震が発生、新幹線が郡山と仙台の間で脱線3/21いまだに復旧ができていない。)があり、福島にある2つの火力発電所が止まってしまい、電力が不足するという話があった。その後、回復したが、今度は電力が多すぎて、東北の方と西日本の方で自然エネルギーの供給を止めるという事態があった。自然エネルギーは天候による発電量の変動に対応しにくいとのこと。記事としてはそのような場合にいいのではということで次の記事を載せたと思う。

2022411日(月)夕刊に「東京工業大学の研究チームが、二酸化炭素(CO2)を使って電気をためたり、放電したりする、新たな蓄電技術に成功したと発表した。」

余った電気で水を電気分解し、水素を取り出し、放電時には酸素と化学反応をさせて、電気を取り出す方法はあるが、水素の管理で極低音や高圧を維持するのに費用が掛かるとのこと。充電時に送り込んだCO2を電気分解して一酸化炭素と酸素に電気分解し、今度はエネルギー源として用いるときには熱化学反応で一酸化炭素から炭素を取り出す。放電する場合には空気中の酸素と炭素を反応させ電気を発生させる。CO2削減の技術にも応用できそうだ。

自然エネルギーの発電方法は火力発電所のように大規模な施設ではなく、大掛かりな送電線網も必要がない。自然エネルギーによる発電は、地域分散型となり、消費立地となるが、やはり天候に左右されることが多い。そこで一時的に蓄電する方法が必要となる。 

 自然エネルギーによる発電は太陽熱発電、風力発電、中小の水力発電、海の波力発電、地熱発電、農業をしながらの太陽光発電(ソーラーシェアリング)、木材チップや動物の排泄物を用いた発電も開発されてきている。

 また建築に目を向けると、太陽エネルギーを用いた暖房冷房のシステム、外壁を断熱する外断熱工法も省エネルギーの工法として技術開発中である。LED照明などの省エネルギー技術も展開している。また生ごみや排泄物を分解する方法もあり、下水道などを省略することにも展開ができる。 

この様に、自然エネルギーによる発電の技術開発をする要素技術も急速に必要であるが、それと同時に蓄電なども含め、使用方法の技術を開発し、総合的に開発することも早急に必要となる。

2022/04/14

お囃子の乱拍子

 

乱拍子とは拍子が乱れると書きますが、あまり使われない言葉です。能の演目の道成寺にはシテの白拍子がところどころで思い出したようになる小鼓の音に合わせて白拍子の足をすばやく動かす動作のことを指して言うようです。鐘の中で蛇に変わる前の緊張を感じます。

実は荏田のお囃子にも破矢(はや)の章で、しずみと乱拍子という章が挿入されます。なんで乱拍子かはよく理解されていませんが、お囃子の乱拍子の部分には「たらりら、たらりら、たらりら たらりら たらりら、たらりら たらりら、たらりら たらりら たらりら 」と吹く部分があります。は指を笛の孔から跳ねず、離さないように音を止めて演奏する方法です。勝手な音程の表現で、また勝手な表現の解釈で理解しにくいですが、ちょうど一歩ずつ階段を上っている足を表現しているように感じます。

破矢のあとには鎌倉、国固め、四丁目、そして前に戻って破矢になります。その中で乱拍子はまるで能の乱拍子のように一歩ずつ歩んだのちに蛇に変わるぞという緊張感を表現しているように思います。お囃子には別の部分で獅子舞も登場するし、乱拍子は意味が分かれば魅力的な言葉です。

2022/04/11

鶯の鳴き声

 

325日朝の家の近くを散歩していたら、ウグイスが今年初めて鳴いていた。しかもいつもの常緑樹のしらかしの葉っぱの中でなく、落葉樹でしかも枯れたツタの葉っぱの中で鳴いていた。残念ながら姿は見えなかったが、鳴いている方向に携帯電話のカメラを向けて写真を撮って、拡大したら鳥のようなものが写っていた。きっとこれが鶯ではないかとおもわれる。今まで一度も姿を見せたことがない。たまには枯れ木の中でも姿を見せながら、美しい鳴き声を聞かせてほしいと思う。

 


              写真 近所にある落葉樹の小鳥?(2022.03.25朝)





2022/04/10

琵琶の音

 

天声人語2022.04.03に動画配信サービスで演奏されていた琵琶のことが出ていた。演奏者は後藤幸浩(ゆきひろ)と書かれていた。実は何年か前(2007317日)に元横浜ボートシアターの高橋和久がかたりをして、後藤幸浩が平家物語を演奏するコンサートがあった。その時はかたりの方が気になって、琵琶についての音の感想はそれほどなかったが、天声人語には琵琶の音は「弦を一度かき鳴らすだけで、発祥の地といわれるペルシャやインドの雑踏に立つ心地がする。」とある。たしかに琵琶は正倉院の収蔵物にもあり、1300年前頃に伝わったもので、もとはペルシャのバルバットかもしれない。CDの内容は1.木曽最後(平家物語より)、2.熊凝のうた(万葉集より)、3.うしろむき(今昔物語より)、4.わが子は二十に(梁塵秘抄より)が入っている。作曲は後藤幸吉がかかわっているようであるが、リズムやメロディーがあるわけではない。2番目の曲は尺八も含まれる。熊凝は人の名前で本名は大伴熊凝(おおとものくまごり)というらしい。相撲取りの付き人となって都に上る途中で病になって死んでしまうが、その無念さを尺八が表現しているとのこと。たしかにトランペットやサックスのような生き生きした音ではなく、尺八はもの悲しい音である。琵琶と言い、尺八と言い表現の幅が広げられると感じる。






 

2022/04/09

救急車のサイレンはうるさい?

 

202246日水曜日の朝日新聞に救急車サイレン うるさい?という見出しがあった。苦情の内容は「「深夜の住宅街でサイレン音を消してほしい」「眠った子供が起きてしまう」といった内容だった。」 騒音問題に詳しい橋本典久・八戸工業大学名誉教授は「人々の孤立化が進んだことで、フラストレーションを感じやすい心理状態の人が増えたのでは」とのこと。その結果、「少しでも消防隊員や一般の方の負担にならないように工夫したい」とのこと。救急車の音は法律上で定められているのでなかなか変更はむつかしい。

この「孤立化」が原因かよくわかりませんが、秋祭りでお囃子を車の上でふいていたら、隣の家から今おばあさんが病気で寝ているので、音はやめてもらえませんかといわれ、あわててやめたことがあります。お囃子の音は法律ではないので迷惑にならないようにしなければなりません。ただこの孤立化が問題という場合もあります。お囃子の音は昔からなじんだ音の場合にはこの音に一体感が出てきます。そうでない場合には昼間から騒々しい単なる騒音です。やはりお囃子の音は地域になじんでいる必要があります。

 ところでお寺の鐘も時報は毎日なるのでうるさいという場合もあるでしょう。 除夜の鐘は1年に一回なので年を越すいい合図とも考えられます。でも毎日ならない場合には除夜の鐘は夜なので余計うるさいという場合もありそうです。

また小学校や中学校の運動会の音もよく新聞に苦情が載ります。また幼稚園や保育園さらに児童公園も隣に計画ができると反対運動が始まります。

建設騒音や自動車の交通騒音や飛行機や新幹線の騒音、工場の騒音などは人為的な音だし、空調室外機の騒音なども法律的にも規制しなければいけない騒音になります。

隣の子供の音楽の練習の音やフードコートの音などは問題になっていない場合もあります。また森の中の風の音や波の音もほぼ問題になってはいません。屋根の雨音はどうでしょうか。

 

音についてはあまり議論になっていませんが、時々は意識的に注目してみることも重要かもしれません。

2022/04/02

さくら と 歌謡曲

 

我が家の北側にある忠魂碑の桜が今は満開です。桜は満開になっていますが、忠魂碑の入り口の門は鍵がかかっており、誰も入れません。かつて10年以上前、門が開いているときには、花の咲いている時には花見をしている人たちもいました。いいんだか悪いんだかわかりませんが、さみしい気もします。

朝日新聞の天声人語2022.3.29には「桜の花を兵士に見立てた歴史があるから」 「考えすぎるかもしれないが戦後しばらくは歌謡曲の世界では桜の花を正面から取り上げるのが避けられたように見える。坂本冬美さんの「夜桜お七」や森山直太朗さんの「さくら」などが出てきたのは、戦後から半世紀ほどたってからだ。」とありました。

確かに森山直太朗の「さくら」が出たころは、新鮮な気がしました。ただ私は小学校の時に覚えた「さくら」(さくら さくら やよいのそらーは)の歌詞もよく覚えていて、森山直太朗の「さくら」がよく対抗できたとびっくりしました。私が生まれたときに住んでいた大田区の家にも桜があって、私が結婚して家を出た後に、バンコクからバンディットさんが桜の前にあったその部屋に下宿して、この桜がとても印象的だったと言っています。

また日本からワシントンのポトマック川沿いに移植した桜も満開になったとのニュースも毎年あります。また伊豆の河津桜も満開できれいだとのことが話題になりました。いまはこの河津桜はこの横浜でも咲くようになっています。河津桜はソメイヨシノより咲くのが少し早いです。

隣にある忠魂碑は1920年(大正9年)に建立の様で、主にまつられているのが日清戦争、日露戦争当時に戦死した村の人たちです。この土地の前の用途は釈迦堂で、おそらく釈迦堂が古くなって困っていた時に忠魂碑のために横浜市に土地を寄付したようです。この忠魂碑も地域の良い歴史になっているようだし、ワシントンの桜もとてもきれいです。

現在は多分桜を見て戦争をイメージする人はあまり多くは無く、それより桜が咲くとこれから春だという印象の方が大きくなります。

                写真 忠魂碑の桜 202242


2022/03/26

音楽と科学

 2022322日の朝日新聞の科学の欄に指揮者の西本智美さんが出ていて、表題は「心癒す音楽の力 科学で探りたい」とあり、「科学と音楽を結び付けたいという思いを、20年ほど前から抱いていました。」と。最後に「感性脳科学に取り込む広島大の山脇特任教授と出会い、共に目標案を作りました。」とあります。 正確にはどのような内容かはかかれていませんが、現在音楽には科学が必要な状態があるようです。

 約150年前の話ですが、明治政府がヨーロパの音楽を輸入するときに、最初に対応したのが文部省音楽取調掛(東京芸大の前進)で、日本国歌を作曲したフェントンやエッケルトが活躍したころです。音楽取調掛の分析結果をもとに、東京帝国大学理科大学物理学科が音響研究を始めています。最初は田中正平、中村清二、寺田寅彦です。田中正平はベルリン大学のヘルムホルツの下で純正調のパイプオルガンを作ったことで有名です。またその後、このブログでも紹介した鈴木聖子著「〈雅楽〉の誕生」にある田辺尚雄です。田中尚雄はヨーロッパ音楽と比較して、日本の雅楽を引き合いに出して、日本音楽の進化論を述べたようです。なかなか無理がありそうですが、音律の点から研究をしたようです。日本の音響の研究が東京帝国大学理科大学物理学科から始まったのは面白いですね。

 音律に関しては、BC500年ほどに、ピタゴラスがピタゴラス音律を発表しましたが、その内容は二つの音が重なった時に唸らない音の組み合わせでドレミを作ったことです。純正律ができたころは、ケプラーやオイラーも純正律の一種の音律を発表していましたが、そのころバッハも「平均律クラヴィーア曲集」(英訳では The Well-Tempered Clavierで平均律ではない )を作曲しています。その後平均律が転調のしやすさから利用され始めて、このブログでもよく出てくるヘリムホルツも音律の研究をしています。歴史の中ではこの音律は紀元前からアラブや中央アジア、中国や日本も含め世界中で続いている研究で、今ではきっとヨーロッパのクラシック音楽とそれぞれの地域の音楽の合奏が試み始めています。例えばピアノと尺八、または尺八とシタールなどです。新しい音楽が音律の研究から出てくる予感がします。

 第二次世界大戦の時に、ナチスがサンクトペテルブルグに攻め込んだときに、ショスタコーヴィッチが交響曲第7番を作曲して、サンクトペテルブルグの交響楽団がそれを演奏して、戦争を支援したとのこと。これを科学と結びつけるのはなかなかむつかしいですが、この中にも音楽と科学の関係する要素もあるように思います。

 最近の話題では、ホールなどで音楽を聴くときに、床の振動も伝わってくることがあります。多くの場合に、この振動が耳から来る音楽を補強することが多いです。ただこの振動の原因は何かという話もあります。まだクラシック音楽用のホールは多くの場合に、残響は長い方がいいとされています。たしかにヴァイオリンの音は残響の少ない部屋ではさみしい音になります。それではコントラバスの響きのある音はどうなのかという問題も生じます。また和太鼓のように自ら持っている自己残響の影響はどうなのか、邦楽器については好ましい音響状態はどうなのかなど、わからないこともたくさんあります。

 今後の西本智美さんの研究結果を期待しています。