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2025/09/17

童話 オリオンの三人娘 の読後の感想

  著者は作:渋屋せつこ、絵:ノガワアイ、出版社:幻冬舎。作者の本名は渋谷セツコ、今までは建築家(一級建築士)として仕事をしていた。私は50年ほど前から知っている人だ。その人が童話を書いた。「オリオンの3人娘」という本だ。多分子供夫婦が宮古島に住んでいて、その夫婦が3人の女の子を授かった。ここまでは私の予想。ただ三人の女の子はオリオン座の腰のところにある三つの星の申し子という感じで書かれている。最近ここ横浜ではオリオン座をはじめとして、夜が明るくて、星座はよく見えていないが、多分宮古島では星座はよく見えるのだろう。浜辺で星を見ながら居るだけでなんだかロマンチックな気がしてくる。多分この最初から物語が始まっている。下図は宮古島とその隣の伊良部島、本の最初に、沖縄に次いで大きな島で、三角定規みたいな形をしているとあるので、多分宮古島だと思う。主人公たちはこの島でパッションフルーツを栽培している。登場人物は、この夫婦と小さな娘三人と、ヤモリ、ケンムンという妖怪で、ケケケケと笑う。歯のないハブ、失神する子供のカラス、笛吹き鳥(母親は胸に土笛をぶらさげている、ピョルルーと鳴く)、飛びイカ、子供たちはこれらの動物と親しい。大きな台風が来て、両親に大変な出来事??が起きる。そのため、子供たちが仲良くしていたこれらの動物たちが助けてくれる。子供たちの親を思う気持ちや親が子供たちを思う気持ちがひしひしと伝わってくる。一気に読んでしまった。さすが建築家だけあって、空間的に広がりのある展開となっている。さらに童話は星たちや動物たちとこうありたいと思う世界を容易に創作できると言う長所がある。今後に期待できるところだ。

 9/24追記:大昔話をしていた時に、何の話からかどんな曲が好きかと聞いたら、マーラーが好きといわれた。当時、あまり知られていない作曲家だった。今から考えると、モーツアルトやベートーベンは意志を表現しているような気がするが、マーラーは感覚や感情を表現している。この感覚や感情を表現することについて、渋屋さんは様々な面で、継続していると改めて思う。

10/1追記:マーラーが好きという話は奥が深かった。フィンランドに仙台ヘルシンキ都市セミナー’99というのがあり、建築と子供たちというテーマでこの会議に参加することになり、さらにこのヘルシンキで、フィンランディアホールに行って、マーラーの交響曲第二番復活を聴いて、感動したとのこと。そのことを私に話をしたと思ったようですが、それより20年以上前にもマーラーが好きだと言ったので、奥が深いと感じたことです。

渋谷さんのメールには、その前の年に市の職員が持ってきた石の写真が貼付されていて、写真の上部はフィンランディアホールの外壁を改修した時の大理石で、下部はヘルシンキ周辺にある花崗岩バルモラルレッドで、有名なテンペリ・アウッキオ教会もこの岩を水盤状にくり抜いてそれに木造の構造屋根を掛けた教会です。



                                            地図:この三角形の島が宮古島、左側の島は伊良部島

※実は渋屋さんから、舞台になった島は奄美大島とのこと。たしかに南西諸島で、沖縄に次いで二番目に大きな島だ。以下の地図で奄美大島を示した。たしかに三角形の形をしている。