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2023/11/12

横浜ボートシアター音楽会クルーズ

 日時:2023111113時より約1410

場所:横浜日の出桟橋から遊覧船ベネチア号にのって、劇団の音楽を聴きながら大岡川、中村川のクルーズを行う。

遊覧船に乗って、横浜ボートシアターの奏でる音楽を聴きながら、舟を楽しむという趣向に、源氏物語(瀬戸内寂聴訳)を思い出した。その第4巻の胡蝶に p.270「源氏の君は、かねて造らせておかれた唐風の船に急いで船飾りをおつけになりました。いよいよ池にその船をお浮かべになる日には、雅樂寮(うたかずさ)の楽人をお呼びになり船上で音楽をお催しになります。」 中略、p.275「中宮と紫の上両方の若女房たちが、われ劣らじと贅を尽くした衣装や容貌が、花々をこきまぜて織り上げた錦にも劣らないくらい美しく見渡されます。耳慣れない世にも珍しい音楽の数々もかなでられました。」中略、「上達部や親王たちも皆それぞれ、箏(そう)の琴(こと)や琵琶、笙、篳篥(ひちりき)や横笛などをとりどりに演奏されました。」 なんと優雅な感じだ。それをイメージしながら船に乗った。

 しかし実際には今年初めての寒さで、急に寒くなった感じで、とにかく川の上なので、私はキルティングのコートを着て、さらにライフジャケットを来て乗った。大岡川や中村川は横浜の中心部を流れていて、半分は海の水も混ざる川で、人工的なコンクリートの岸壁に囲まれている。横浜の都市中心部を流れているので、どちらかと言えば殺伐としているが、今後の横浜の街づくりには重要な要素だと思われる。船のお客には、私の隣に、以下のブログでも書いた外国人が座った。この外国人はフランスから来た人だった。

https://yab-onkyo.blogspot.com/2023/11/blog-post.html

会話の中で、この船はセーヌのバトームッシュとは景色がだいぶ違うという話もした。しかし周辺の建物はそれなりの建物でパリとは比較できない、逆立ちしてもそうならない。

しかも中村川は高速道路の下を流れている。横浜ボートシアターの初期の根拠地であったが、船の音楽会という優雅さからは遠い雰囲気の位置にある。中村川の両側には、大部分は歩道もない。しかし前向きに考えると、両側壁はコンクリートの岸壁、天井は高速道路、側壁の上部で、高速道路と側壁の間には適度に空間があるため、適度な反射音が得られ、好ましい音響空間と言える。電気音響で拡声した場合には周辺に迷惑がかかる場合もありそうであるが、横浜ボートシアターの場合のように生演奏の場合には好ましい船の音楽会ともいえる。しかも船にはあまり聞こえないが、高速道路側からは大きな道路騒音が周辺の集合住宅にはもたらされている。

 また大岡川は両側に桜の並木もあり、歩道もあることから、街を歩く人々との交流もできるし、街を見ながら音楽を楽しむこともできる。街を見ながらという場合には大岡川の方が楽しいと思われる。ただ今回は主に橋の下で船をとめて音響を楽しみながら響きにある空間で演奏を聴いたので、船を流しながら音楽を聴いた場合はどうだったか気になるところである。

 演奏した音楽の中で、旧小栗判官と新小栗判官とを比較することも行った。強いて言えば旧は遠藤啄郎が演出したもので、新は吉岡紗矢が演出したものだ。旧小栗判官の音楽は、どちらかと言えばガムランの音に近く、静的で、淡々とリズムを刻んでいる感じである。新小栗判官は力強いリズムで、響きもあり、ちょっとJAZZのような雰囲気がある。この音楽の違いが分かったことは今回の音楽会の最も興味を持ったところだ。双方とも音楽の概念がはっきりしている。今後新小栗判官がどうなっていくか楽しみである。現在 戦乱が激しくなっているところがある。小栗判官の”生きろ!!”というメッセージが強く訴えている。