2023年5月16日(火)にフィリアホールでコンサートがありました。一番の興味は、天井を改修した後で、どうなったか気になっていました。またコンサートの趣旨は、ウクライナ・トルコ・シリアの支援コンサートになっているということです。出演者はピアニストのデニス・ヤヴォールスキーとヴァイオリニストの澤田智恵です。今回のコンサートにはウクライナの関係者が何人か来ていました。また以前はファッションカメラマンで、今は報道カメラマンとして活躍しているヴェラ・ブランシェさんも舞台の上であいさつされました。ロシアがウクライナを侵略した様子の作品がロービーに飾られていました。
フィリアホールは500席のコンサート専用のホールで、1階の間口はステージと同じ幅で、2階のバルコニー席まで入れると17.5mですが、客席は1階の側壁の反射音が重視され、主に側方反射音を大事に作られているようで、音の拡がり感や音に包まれた感じを大事にした音響設計のようです。しかしステージ面積 104㎡ 13.7m(幅)× 6.4~7.3m(奥行)× 13.5m(天井高)とあり、舞台の幅と天井高さはほぼ等しくなっています。したがって音速が340m/sとすると、床面にある音源から側壁からの反射音は13.7/340=0.04秒=40ms、天井からの反射音は13.5*2/340=0.079秒=79msとなってしまうので、天井からの音は50msを超えてしまい、単独であればエコーになる遅れ時間となり、直接音を補強する音にはなりません。舞台音響の視点からは、もう少し短い間隔で、初期反射音が来るといいように思います。例えばサントリーホールのような浮雲や舞台正面の壁に舞台に返すことができる凹凸面などです。しかしない方が音に包まれた感じで、よいという場合もあるかもしれません。なかなかむつかしいところです。