六本木ヒルズより首都高をはさんだ真向かい、リニューアルされた六本木シーボンビルの8階にサロンコンサートホール(設計:ACT環境計画、音響設計:YAB建築・音響設計)が竣工しました(12/14)。
施主は同ビルに歯科を開業されている方で、その他内科の診療所もある診療所群の中にこのホールはあります。
通常は、講演会などに使用されることを目的としていますが、クラシックコンサートなども行う計画です。その場合は、外部の騒音を遮断することが必要であり、浮き構造を採用しました。もちろん内部で発生した音が他の室内に伝搬しない様にする目的もあります。
こ のビルは既存の事務所ビルであり、しかもテナントビルのために、コンクリートの浮き床とはせずに、乾式浮き床工法を用いました。重量は約 100kg/m2。その浮き床の上に壁(スーパーハードボード12.5mm)を2枚、天井は同仕様のものをスラブから防振吊りしました。床面積は廊下状の 部分を含めると約40m2、舞台・客席の部分は約35m2です。客席数は約35席です。天井は鋸歯状で、壁も拡散形状をしています。講演には残響が短いほ うがよく、クラシックコンサートには豊かな響きが必要のために、収納の中を吸音にして、扉を開け閉めすることで調整することとしました。竣工時の測定で は、残響時間は500Hzで0.83秒(空席)、収納の扉を開けると0.65秒(空席)に変化します。平均吸音率はα=0.13、収納の扉を開けるとα= 0.16に変化します。コンサートで満席の時には平均吸音率はα=0.16程度と推定され、ライブなホールです。しかし空席時(扉を閉めた状態)でも音声 明瞭度指数RASTIは0.64、IECスケールでGOODに評価され、講演にも問題がないと考えられます。