9月3日、4日と千葉県の2か所の劇場に改修のための音響調査に伺いました。
測定の前日、9月2日(日)から千葉に向かい、千葉県緑区にあるホキ美術館に行ってみました。
ホキ美術館は鉄板製の美術館で、シャープな躍動感があります。美術館の端部は部屋全体がキャンティレバーとなって宙に飛び出しています。しかも断面は大きなC型の形状で、Cの途切れた部分は壁の下部にスリットとして通っていて不思議な感じがします。その内部の展示空間もシャープで、美術館や博物館の天井の仕上げは一般的な岩綿吸音板ではなく、ボード類の上に塗装仕上げでした。床もゴムチップ床で吸音するところがないのですが、椅子は球形の椅子で、触ると気持ちの良いフワフワとしたウレタンスポンジのようなものでできていて、デザインが素晴らしいだけでなく、これは吸音材でもあると思いました。ただ数が少ないので、もう少し多ければ残響調整ができそうと思った次第です。
もし吸音材を追加するとすれば、選択肢として、岩綿吸音板のように表面が凸凹していなく、また従来の有孔板のように孔が大きくなく目立たない、微細穿孔板(MPP: Microperforated Panel Absorber)という方法良いのではないかと思いました。日本ではあまり活用されていませんが、建築学会などで研究発表されています。孔が目立たないので、ホキ美術館のようにシャープにデザインされた場所には可能性があるのではと思います。