2012/09/24
横浜ボートシアターの演出家 遠藤啄郎氏の講演会
去る9月8日(土)の19時より、中区若葉町にあるnitehiworks(ニテヒワークス)で、横浜ボートシアターの演出家である遠藤啄郎さんの講演が『極楽爺さん』と題して行われました。遠藤さんの今までの演劇人生、そして横浜ボートシアターのことなど話されました。
nitehiworks( ニテヒワークス)とは、廃ビルを改装して作られたカフェ+アートスペースです。2層吹き抜けの空間で、2階からも見降ろせます。ここでは展覧会や音楽会が行われており、響きもある魅力的な空間です。
主催は第七金星丸です。この会の目的は、横浜ふね劇場の存在を知ってもらうこと、そしてふねの修繕積立をはじめようと呼びかけたことです。
遠藤さんのお話で印象に残ったのは、中学生の時に戦争で疎開して工場で働いていたこと、その様な中で演劇のまねごとをしていたそうで、その頃から演劇人生が始まっている筋がね入りの人でした。
横浜ボートシアターは仮面劇で知られていますが、最初はイタリアのコメディア・デラルテを参考に始まり、次第にインドやインドネシアの芸能を参考にしてきたそうです。遠藤さんは現代演劇に対して批判的で、毎日2回2000席の歌舞伎座をいっぱいにできる歌舞伎がすごいとおっしゃっていました。
ふね劇場の魅力とは、芝居をつくっていく上で経費が安いことであると。横浜ボートシアターは木造船から大ヒット作の『小栗判官照手姫』を生み出したのですから。
歌舞伎や人形浄瑠璃を別の世界において、現代演劇を語ることはよく行われています。日本は明治期と第二次世界大戦の後の文化革命(?)で、文化の過去を断ちきって、将来を語り始めてしまった。明治期はヨーロッパの、戦後はアメリカの文化を考え方の主軸に据えてしまった。その結果、根なし草のように根拠が薄弱となった。演劇や音楽は、世界中の文化を同列において、味わうものだと今は考えています。
遠藤さんの講演の後は、横浜ボートシアターの松本さんのエレキギターの伴奏で、吉岡さんの仮面をつけての即興劇の公演がありました。エレキギターの演奏は、まるで琵琶のような音を出したり、仮面の怒りの表情に合わせて音を出したり、伴奏音楽が演技と合わさると、単なる音楽だけではない表現力の豊かな音楽になることが新たな発見となりました。
遠藤さんの講演の後、私も発言に参加し、現在ふねが置かれている横浜港の辺境の地、艀だまりが将来、魅力的な芝居町になるよう努力することなどを話しました。