ページ

2026/10/14

第3回日本ウクライナ国際芸術祭2026を聴いて

日時:2026.10.12(月祝)2時より

場所:慶応大学(日吉) 藤原洋記念ホ―ル

出演:アントニー・バリシェフスキー(ピアノ)、澤田智恵(芸術監督・ヴァイオリン)武松洋子(朗読)、ワディム・ソロマハ(バレエ)、依藤由紀(バレエ)、アナスタシア・デニーソワ(メゾソプラノ)、ウクライナ日本芸術合唱団(ウクライナから避難中のメンバーのほかに今回からは日本と韓国からも参加するようになった)、マクシム・シャリギン(作曲家)

曲目:チラシのプログラムを以下に示した。 


  曲と曲の間には武松さんの朗読があった。中には『掘り返された墓』というものもあった。ロシアとウクライナの戦争のいたいたしい現実の描写もあった。今年はロシアがウクライナに攻め込んでから多分5年は経っている。曲目も明るい曲ではない。どちらかといえば重々しい曲が多かった。最初はアナスタシア・デニーソワが、ウクライナの民謡シチェドリクを歌った。ピアノの演奏はアントニー・バリシェフスキーだが、この人の指は力強く、更に曲に合わせた重々しい音で、演奏している。相当レベルの高い人だ。

  後半のバレエは依藤由紀、ワディム・ソロラマで、チラシによれば力強き民族の生命力を表した踊りで、的確な躍動感のある踊りだった。最後の曲はマクシム・シャリギン作曲の曲で、『KAYA2019』という曲だ。力強さと共に深い悲しみも備えたようないい曲だった。最近作曲された新しい曲だけれど、よく心に沁み込むいい曲だった。この曲は娘KAYAに捧げた曲だとチラシにあった。このマクシムさんは私の座っている斜め前に座っていて、舞台挨拶も行っていた。今回のコンサートはこの曲のためにあった感じだ。ホールから出るときに、このマクシムさんも出口周辺に並んでいたので、曲の評価をして握手をして帰った。

今回のコンサートは、各出演者は相当演奏レベルが高い人たちだった。またそれぞれから感じるところもたくさんあった。アナスタシアさんはチラシによると東京交響楽団の定期演奏会で、フランツ・シュミットのオラトリオ『7つの封印の書』を合唱団として出演したようだ。この曲は先日NHKのクラシック音楽館でも放映された。1937年に作曲されたが、1938年にはナチスがウイーンを占領した時期で、世も終わりだと宣言したような曲で、それに対抗して出されたようだ。世界情勢は深刻な感じだ。ウクライナに平和が早く訪れることを願う。

  澤田さんの企画したコンサートは歴史を重ねるようになり、しかも演奏レベルが高くなってきている。ウクライナの戦争の状況はまだよくなっていないが、澤田さんのこのような企画はぜひ続けてほしい。その時の気持ちも伝わってくる。

   藤原洋記念ホールは、収容人員500名ほどのシューボックスタイプの中規模のホールで、響きはとても良い感じのホールだ。1階席・2階席とも満席だった。ただエントランスホールは小さく、出演者が挨拶しようとしても、後ろに並んでしまっている人と帰る人たちで滞留してしまっている。ホール周辺はもう少し余裕が必要な感じだ。


写真:中休みの時に撮影した舞台周辺