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2025/06/03

横浜市山下埠頭の未来を考えるシンポジウム  ~横浜市民の宝の場所をどう活用するか~

日時:2025531()午後1時から530

場所:神奈川大学横浜キャンパス3号館308教室(私の場合で、明治大学やONLINE

の参加も可能であった。)

主催:神奈川大学法学部研究所

 今回の山下埠頭の再開発を考える会は、住民側の呼びかけでなく、主に学識経験者からの発案で開催されたものだが、私のところには、市民側で活動をしてきた中村さんからの呼びかけで来れた。

総合司会は小川有希子、第一部 山下埠頭の活用を都市計画、港湾機能、市民参加の観点から考える。基調講演:山下埠頭の事業計画の検討方法はどうあるべきか、北山恒

講演:山下埠頭の土地利用をどう考えるか 菅 孝能、報告:山下埠頭の活用は市民主体で進めよう、中村寛三、第二部 パネルデイスカッション~現在の状況を踏まえ、今後どう進むべきか~パネリスト坪郷 實、金井利之、鈴木伸治、真城 愛弓、コーディネーター 幸田雅治

 

基調講演として北山恒が話をした。いまから考えるとこの話の中にシンポジウムのほぼすべてが含まれている気がする。20世紀の人口が増大しているときに、ニューヨークやシカゴのように資本主義の展開で民間業者による都市の各地区ごとの巨大開発、超高層ビルが出現したが、都市全体の計画は不在になってしまっている。しかし今は人口が減少している時代、しかもその上東京に人口が集中している時代、山下埠頭に超高層ビルをたくさん建ててもそこを利用する人が居なくなってしまう。横浜市の再開発委員会では、経済や政治の分野での専門家が多く、いかに儲かるかという議論になってしまっている。このような人口減少社会では、歴史を題材とした自然やコミュニティに豊かさをもたらすものを配置した方がいい。しかもこの土地は市が所有している土地で市民が土地を利用できる方が好ましい。横浜の都市計画は、田村さんの1965年の都市づくり構想、北沢さんの2004年の創造都市横浜構想、2009年に海都横浜構想によりこの二人のアーバンデザイナーが戦略的な都市計画を行ってきたが、林市長によってそれが途絶えてしまった。民間事業者により利益最大化のものではなく、市民が活用できるものにしたい。会場からは拍手が起こった。

菅さんからは意見をもらう立場から共に歩む方法に変えないといけない。山下埠頭全体のエネルギー供給センターを脱酸素で作る必要がある。

住民運動をしている中村さんからは、IRをなくした経験があり、近くに市長選挙がある。市民が山下埠頭再開発の計画に参加していく十分なチャンスがある。提案書の中には艀による船劇場の提案も入っている。

都市計画の鈴木さんからは横浜の景観、山下埠頭に高層ビルを林立させると、山下公園からはベイブリッジ等の景色が見えなくなってしまう。また50年後の横浜、人口減少の社会で、脱炭素社会のモデルとして、この山下埠頭の倉庫を徐々に改修していくなどの方法も計画案として考えられる。また博覧会などを行ったあとテーマパークを行うような方法があるが、最終的な姿が隠れていることが多い。また東南海地震なので、陸路が寸断されてしまった場合には、ここにオープンスペースがあれば、海から救援物資を運び込めることができる。

 神奈川大学法学部教授幸田 雅治の資料の中にあった横浜市の再開発検討委員会のメンバー。山下ふ頭再開発の方向性について(答申) 横浜市山下ふ頭再開発検討委員会

令和6 12 月 ※建築家の隈研吾は何と言っているのだろうか?まさか超高層ビルを立てたいと思っているわけではないと思う。

テーブル

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私も時々船劇場の公演を見に行くために山下埠頭の傍を通るが、この地区に高層の住宅や事務所を作っても、そこからの景色はいいと思われるが、交通は不便だし、ガスや水道や交通網などのインフラを相当整備する必要がある。また人口が減少しているときに、このような施設が必要なのか懸念するところもある。また横浜船劇場をこの山下埠頭の中に係留させて、芝居を楽しみたいという立場からも超高層ビルのある地域には雰囲気からして船劇場を係留できない。やはり横浜の港のある空間を中心に、レンガ倉庫、象の鼻公園、大桟橋、山下公園、氷川丸、山下埠頭(公園)という雰囲気の連続を大切にしたい。横浜市政の今後の対応の方向性を変えていく必要がある。また10年間ほど、私は建築の寺尾研究室で、講師として環境実験を教えていたことがあり、大変懐かしいところだ。その時には白楽駅から徒歩で歩いてきたが、今回は助手をしていた関根さんに教わって片倉町からバスで来てみたが、歩く距離が相当短くなり、快適だった。また基調報告を行った北山恒さんは、渋谷の映画館群ビルCinema-Teque Project)の設計の時に、音響の立場から参加したことがあり、親しく感じている。また北山さんは横浜市が長期的な都市開発ビジョンが現在ないことにいら立ちを示していた。横浜市に山下埠頭再開発について再考をお願いしたい。

神奈川大学横浜キャンパス3号館308教室の天井は岩綿吸音板で仕上がっており、教室としての音響性能は素晴らしい。ただし参加している人たちには、横浜船劇場を作る会の代表だった一宮さんやその他中年以上の人たちはいたが、学生がほとんど見られなかった気がする。このシンポジウムには、講師の人たちはほとんど神奈川大学以外も含めて大学の先生なのに学生がいないのはさみしかった。今後の行く末が心配だ。※今回のシンポジウムはONLINEも含め、学生に対してもう少し魅力を持ったやり方があったような気がする。住民運動をしている中村さんの開いているシンポジウムの方が多くの人が集まっている。横浜市の住民にとって山下埠頭再開発のことは喫緊の話題のはずだからである。