ウクライナへの祈りというコンサートは、2023年10月1日(日)14:00より、慶応義塾大学協生館2Fの藤原洋記念ホールであった。私にとって初めて行く劇場である。
前半の3曲はヴァイオリンとピアノの曲で、朗読を最初に行ってから演奏が始まった。ピアノとヴァイオリンの音のバランスがよく、よく響いて聴こえた。
後半は俳句朗読の後、バレエ、サキソフォン、合唱、さくらさくらVer.など多くの人たちが出演して賑やかに公演した。アンコールはウクライナ民謡(よく知る歌)だった。
その後、あいさつに立った人が、ウクライナではロシアと戦争中であるが、バレエやコンサートを普段のように行っている。空襲警報がなると地下に避難するような状態であるにもかかわらず、バレエやコンサートは大事にされているとのこと。心の安定のためには音楽や演劇は多分必要なことと思う。
今回のコンサートでは、舞台後部の壁ではなく、スクリーンが出てきて、ウクライナの現在の状況をスライドで映し出していた。このことでウクライナの現在を我々につなげることができたと思う。
演奏が行われた慶応義塾大学の藤原洋記念ホール(以下の写真)はきれいな劇場である。音響設計もされており、舞台の天井が高いにもかかわらず、舞台音響のために、音の返りのための庇(リブ)が壁についており、多分演奏しやすいように思う。収容人員は約500席、舞台後壁の壁は開放し、外部が見えるようになるとのこと。
舞台後壁が開いて後ろの景色が見えてびっくりしたのは、赤テントの公演の時、舞台の後ろの幕が開いて、超高層ビルの前で、重機が人を載せて回転していたこと。そのほか豊洲シビックホールの日中友好記念コンサートで、レインボーブリッジの照明が見えたこと、姫路城の前で平成中村座の天守物語公演で、舞台後壁が開き、天守物語の舞台になった姫路城が目の前に現れる場面(テレビで放映)、いずれも舞台と現実が一体となったような雰囲気が得られていた。
最近放映されたNHKESのクラシック音楽館では、バッハの無伴奏チェロ組曲をスイスの氷河を舞台にして、地球環境を踏まえて演奏していた。この場合にはチェロの演奏は室内音響の効果は無視して、環境とのかかわりをむしろ重要しているように思う。さらに森の中での演奏も適度な木々からの反射が得られ、室内音響のような響きを感じ、コンサートの可能性があるように思う。
写真 劇場がはねた時に撮影した。