片山杜秀の『蛙鳴梟聴』の記事は 朝日新聞2023.09.18(月祝)に載った。冒頭は、『西村朗が逝った。坂本龍一も春に亡くなった。中略、同時期に東京芸術大学音楽部部で学んだ。そして、2人ともアジアを背負った。』『西村の出世作はバリ島の伝統音楽に取材した「ケチャ」だろう。』『坂本が中略知られたのは大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」。ジャワ島が舞台だ。曲もインドネシアの音楽を意識している。』『どうも2人は小泉流の世界観に育てられたきらいがある。』
ケチャとは、チャチャチャチャと結構力強く歌うが、単なる繰り返しだけでなく、ところどころでさらに大きくなったりして、変化する。何か動的な感じがする。これを記事では多分「アジア的ヘテロフォニー」と呼ぶのかもしれない。
坂本龍一の「Merry Christmas Mr. Laurence」を篠笛で、ほぼ毎日吹いている。非常に抑えたリズムであるが、わずかに少しずつ変化している。それがいつも新鮮に見える。これをアジア的ヘテロフォニーというものかどうかは分からないが、西洋のクラシック音楽とは違うものとは感じる。
片山杜秀の記事のタイトルは「蛙鳴梟聴」(アメイ キョウチョウ)で、一般的には「蛙鳴蝉噪」(アメイセンソウ)で、蛙が鳴き、蝉が騒がしいという真夏の一般的な騒がしい情景で、「くだらない議論」という意味で使われるようですが、片山杜秀の記事の場合は「蛙鳴梟聴」で、その意味はよくわかりませんが、直接は蛙が鳴き、フクロウがそれを聴く、という意味だと思います。普通考えると蛙が鳴いているのを聞いて、フクロウがそれを確認し、捕まえて食べることを言っているような気がする。ただし私には深山幽谷の状態、すなわちヨーロッパのクラシック音楽が漂っている中で、その他の音楽も漂っているような感じです。「Merry Christmas Mr. Laurence」を篠笛で吹いていると、これからの新しい音楽の世界が漂い始めたような気がします。