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2023/06/20

横浜ボートシアター 小栗判官・照手姫の船劇場での試演会

 2023.06.14の夜、小栗判官・照手姫の試演会と題する公演が船劇場であった。小栗判官・照手姫は先代の遠藤さんによって、横浜ボートシアターを有名にした演目で、今回は後を継いだ吉岡さんが演出をしています。俳優は統一した青い色の衣装で、仮面をつけて演技し、化面を取り換えて、演じている役割に変化します。音楽は、楽器もガムランにある青銅製のお椀を伏せたような打楽器やジャズのようなドラムやシンバル、仏壇にあるリン〈鈴〉、笛などがあり、時々楽器の担当者も化面を取り外して演奏していました。したがって出演している俳優はせいぜい10名にもならないほどですが、場面によって仮面を取り換えて、登場人物になるので、延べ総数は数多くの人間になります。今まで松本さんが一人で演奏していましたが、今回は、最初はいつもの通り演奏していて、いつの間にか、主人公の小栗判官に替わっていました。しかも鍛えられた声でしっかりと話をしていました。また皆さんの力や熱意も伝わってきました。

この小栗判官・照手姫の話は、もともとは説教節がもとになっているようですが、話そのものは大蛇の話や、殺しが合ったり、閻魔大王や、餓鬼や人買いが出てきたりして、最後は殺された小栗判官が餓鬼になって、多くの人に運ばれて、最後にはどこか西の方のお寺の温泉?に入ることができて、よみがえり、晴れて照手姫と結婚をすることができたというものです。

小栗判官・照手姫の説教節にある宗教的な感じは、東の方から餓鬼になった姿で、多くの人に担がれて、東海道を西の方へ運ばれて、最後によみがえることかもしれません。単に人のために、たくさんの人が、ちょっと助けるだけで、餓鬼になった人を蘇らせられるというものです。

物語は破天荒、餓鬼になったり、姫は海に沈められ、また人買いにあったりして、様々な展開があり、しかも複雑です。登場人物もたくさん現れ、しかもそれぞれが個性をはっきりと持っています。しかも伴奏も様々な印象の音楽もあります。ガムラン風やジャズ風などです。それを男性や女性も含めて、同じ色やかたちの衣装に統一して、仮面だけを変えて、登場人物に変化しています。なかなかの手法です。何百年か前の話で、もとは説教節ですが、とても現代的に展開ができて、しかも理解しやすい展開になっています。音楽が伴奏して、仮面もつかう演劇で、手法としては、歌舞伎や人形浄瑠璃やオペラにもある手法ですが、正直言えば、新しく開発された、現代的に展開ができる新しい手法ではないかと思っています。