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2021/07/28

牧の原の大興寺の鐘楼

今年は何度か仕事で静岡の牧の原に行く機会がありました。

すでにだいぶ前の話になりますが、3月の終わりに行った際、帰りがけに牧の原インター近くに大きなお寺があったので寄ってみることにしました。

大興寺というなお寺で、入り口に鐘楼がありその柱の左右に平家物語の冒頭、

「祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と、

「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」

が書かれているのが目に留まりました。

鐘の声、これは音に関する言葉です。

「諸行無常の鐘の声」とは実際の音色はどんなものか、とふと気になりました。

お寺の鐘の音は、一般的にはゴーンという衝撃音の後に唸りを生じながら減衰していきます。

トレヴァー・コックス著「世界の不思議な音」のP.274に、

(この本からは以前にも引用してブログを書いたことがあります。)

教会の鐘を新たに鋳造するとき、西洋の鋳造所ではそのような震音を避けたいと考えるのがふつうだろう。ところが韓国では、この効果は音の質を決定する大事な要素と見なされている。

韓国の鐘と西洋との違いを唸りのある無しであると書いています。

私が以前に重慶の飛行場で買ったチベットのお土産の鐘も唸りが美しく、またタイのバンコクの暁の寺で買ったお土産の鐘も軽い音の唸りを生じます。

おそらく仏教に関係する鐘は唸りが重要な要素ではないかと思われますが、これは私が想像するに、人々の願いや思いを天国に届ける役割をしているものではないかと思います。

しかし個人的には、この大興寺のような鐘の音と、平家物語にある「祗園精舎の鐘の声」とは少し響きのイメージが違いました。

祇園精舎の鐘とはどのようなものなのかと思い、ネットで調べてみると、

祇園精舎の北西の一角には無常堂(無常院)というところがあり、僧たちの最後のホスピスのようなところだということです。そして臨終を迎えると建物の四隅にある鐘が鳴るそうで、それは腰鼓(ようこ)のような形で「頗梨(はり)」という水晶でできた小型の鐘と書かれているものがありました。

祇園精舎の鐘の声とは梵鐘ではないだろうと想像したことは正しかったように思いますが、真ん中がくびれた腰鼓の形をした鐘で、しかも水晶でできているとは想像もしていませんでした。

水晶でできた鐘の音は心地よい音だと想像しますが、実際どんな音だったのでしょう。

牧之原の大興寺周辺はお茶畑で、季節は桜の時期がほぼ満開でした。

大興寺の鐘楼

大興寺
    
周辺の茶畑

この写真のみ6月に行った時に撮ったものです
鐘楼左右に平家物語の冒頭が書かれています(一部薄くなっている)