春になり、小鳥の声がよく聞こえるようになった。緑の多い静かな住宅街にある我が事務所の周りでは、まず目立つのが鶯であるが、身近なスズメやキジバト、ヒヨドリ、シジュウカラなどがにぎやかである。目の前には公園があって、夕方には学校から帰ってきた子供たちの声が聞こえるのも何とも平和な気がする。
先日、雨の日に青葉区寺家町のふるさと村に行ったら、田んぼの横の用水路にアマガエルがケロケロ大きな声で鳴いていて、久しぶりに聞いたアマガエルの声に嬉しくなった。このふるさと村は、横浜市の中で里山をわずかに残している場所で、気分転換によく行く場所である。
トレヴァー・コックス(Trevor Cox)著の「世界の不思議な音」(英文題は「The Sound Book The Science of the Sonic Wonders of the World 」)を読んだ。
「世界で一番静かな場所」という章で、イングランド田園地帯保護協会(CPRE)の調査では、静穏が得られればストレスが軽減することが証明されているとあり、静穏感をもたらす三大要素は、「自然の風景を眺めること」、「鳥の鳴き声を聞くこと」、「星を見ること」だそうだ。
それに続いて、「都市で大事なのは絶対的な音の大きさではなく、相対的な静けさだと。田舎と同様、人為的な音は抑えるべきであるが、完全に聞こえなくする必要はない。自然の音が大きくなれば街の静穏度が高くなると研究で判明しているので、鳥の鳴き声や葉のざわめき、水の流れる音などを積極的に取り入れるべきである」とある。
交通騒音や工場騒音などの騒音は低減する必要があるが、そういった喧噪のなかでも、自然の音が聞こえてくることが重要な役割があるとわかる。また、都市の人工的な音の中でも、お寺の鐘の音などは一つの文化的なものの象徴として存在していて、心地よい音と感じるものである。上記の本の中でも、都市の象徴的な音「サウンドマーク」(例えばロンドンのビッグベンの鐘の音)が人にもたらす影響について書かれているが、それはまた別の機会に書こうと思う。