私の担当は最後の「第10章の第3節:大型施設の騒音・振動対策」「第4節:ISO3745に基づく無響室の設計法」です。
内容を以下の目次で示します。総勢45名の音響研究者・技術者による執筆で、広い分野の最先端の音響技術が示されています。
出版社は技術情報協会で、定価は80000円(税抜)です。本は建築関係が主な対象ですが、案外自動車の関係が多く割かれています。最近は自動車の制御に超音波を用いているようですが、これは今後の課題です。レーザーだけでなく超音波による空間の計測技術もできてきています。仕事のたびにこの本を脇に置いて参考にしたく思っています。
目次
第1章:音の伝搬メカニズムとヒトが音を感じるメカニズム
第1節:音の種類、分類と定義
第2節:吸音・遮音のメカニズムと構造の分類
第3節:共鳴現象のメカニズム
第4節:騒音・振動低減のための技術・材料とその適用法
第2章:人が音を近くするメカニズムと健康への影響
第1節:聴覚のメカニズムと快・不快の感じ方
第2節:騒音・低周波音の健康への影響
第3章:吸音材料の開発と材料特性
第1節:均質化法による多孔質吸音材料の設計
第2節:マイクロポーラス金属の製造とその吸音特性
第3節:ナノファイバー系吸音材料の特性
第4節:バイオマスを利用した吸音材料に関する研究
第5節:かんな屑とバークによる断熱・吸音材料の開発
第6節:3Dプリンタで作製された微細穿孔板の吸音特性評価
第4章:遮音材料の開発と材料の特性
第1節:エッジ効果抑制による遮音壁の開発
第2節:薄膜を利用した軽量でコンパクトな遮音技術
第3節:木質構成パネルの遮音および曲げ性能
第4節:建築用アスファルト系遮音材料の開発とその特性
第5章:制振・防振材料の開発と材料の特性
第1節:制振工学の考え方とその応用技術へのアプローチ
第2節:ポリマーを内包するクローズドセル構造金属材料の作製とその制振効果
第3節:圧電素子を用いた振動制御、騒音制御技術
第4節:制振LCPの開発とその制振特性
第5節:制振材「Polaris」の開発とその特性
第6章:車両における振動・騒音の低減化技術と遮音・吸音材料、構造の適用
第1節:自動車室内の振動不快音発生メカニズムとその制御
第2節:高速輸送機関や流体機器から発生する空力騒音
第3節:自動車用吸音材料の内部構造と吸音特性への影響
第4節:自動車用防振材料、制振材料の開発と利用技術
第5節:自動車の構造音響連成系の最適設計
第6節:自動車用制振・吸音材への要求特性と車内音・車外音対策
第7節:自動車の風騒音の発生メカニズムと低減技術
第8節:自動車用遮音・防音材料の開発、その軽量化
第9節:車両における吸音・遮音の設計と振動・騒音低減化
第10節:気柱共鳴音レゾネータの開発と世代進化
第11節:電気自動車走行音における「EVらしさ」「受容性」評価
第12節:電気自動車におけるサウンドデザイン
第13節:車内騒音伝達機構のモデル化
第14節:吸音材が配置された自動車車室を模擬した空間の減衰音響解析
第15節:プラズマアクチュエータを用いた翼後縁騒音の制御
第7章:建築・建造物における吸音・遮音・制振の設計
第1節:音楽施設の音響設計
第2節:集合住宅における騒音とその対策
第3節:学校施設の音環境評価・音響設計法
第4節:オフィスの音響設計
第5節:公共空間の音響設計コンセプト
第6節:格子状メッシュを用いた雨滴による膜衝撃音の低減
第7節:アクティブ騒音制御技術の住宅換気口への適用
第8節:建築設備機器の騒音・振動対策
第9節:能動騒音制御と聴覚マスキングに基づく工場騒音の緩和
第8章:機械・産業機器における騒音対策
第1節:モータの電磁騒音の発生メカニズム
第2節:消音器による騒音対策
第9章:音響・音環境、遮音・吸音材料の測定、シミュレーション、評価手法
第1節:環境騒音における騒音計測と音響環境を配慮する計測手法について
第2節:音響管計測装置の利用方法とその測定応用技術
第3節:吸音・遮音性能の測定方法および予測技術
第4節:騒音、振動の予測計算と測定・分析手法
第5節:振動レベル計の操作、振動レベルの測定・データ処理の方法
第6節:材料開発におけるアンサンブル平均による材料の吸音特性のin-situ測定法の適用
第7節:時間領域差分法による床振動解析
第8節:光を用いた音場可視化装置
第9節:室内音響特性の測定法
第10節:音波伝搬シミュレーションの計算結果可視化手法
第11節:音空間レンダリング技術の開発
第12節:面内面外変位連成系有限要素法による床衝撃音の数値解析手法の開発
第10章:騒音規制、騒音公害とその対策
第1節:騒音公害の概要―苦情の経年変化と音源別対応策
第2節:低周波音苦情の実例とその対応
第3節:大型施設の騒音・振動対策
第4節:ISO3745に基づく無響室の設計法