2014/06/04
学校体育館の天井
昨日、こんなニュースがあった。
つり天井の9割が耐震対策不十分 公立小中学校の体育館
2011年の東日本大震災によって、体育館や劇場、空港ターミナルビルなど、天井の落下事故が多く発生し、話題にもなった。その防止策として建築基準法の改正が行われ、体育館の様な大きな天井は「特定天井」として構造上の安全性に対して規制が厳しくなり、本年4月1日から施行されている。
その結果、小学校や中学校の体育館では、「特定天井」に相当する天井を撤去する対策が取られ始めている。天井には本来、意匠性のほか吸音性能も考慮して設計されている。学校行事である入学式や卒業式などの式典や講演なども体育館で行われており、その際は話声の明瞭な伝達も必要であるために残響に対する配慮が必要で、一般的には天井は吸音材で仕上げられていることが多い。
最近、神奈川県の某小学校で天井撤去の計画に関わることができた。既存天井は岩綿吸音板であったが、それを取り除くと、その上部は裸のスラブとなっていて、残響過多となることが懸念された。一般的には、吸音材は不燃材であるグラスウールを用いることが多いが、ボールが当たるなどしてグラスウールの表面がつぶれて見た目に汚くなること、また留め金(トンボ)がはずれて落下してしまう可能性などから、金属ネットなどで保護する場合が多い。そこで、ポリエステル繊維板(シンセファイバー)を接着剤でスラブ下に接着する設計とした。学校の体育館は内装制限から外れているために、このようなポリエステル繊維板でも内装材として用いることができ、コスト的に押さえることができる。