日本の伝統芸能を育んできた木造芝居小屋と、現代の多目的劇場の音響測定を行い、木造芝居小屋の音響的特徴を確認するための音響実験を行いました。
測 定を行った木造芝居小屋は岐阜県にある4座で、鳳凰座、白雲座、常盤座、明治座です。測定は8月1日、2日に行いました。多目的劇場のサンプルは横浜市 磯子区民センターの杉田劇場で、測定は7月15日に行いました。測定項目は、残響時間、音圧分布、インパルス応答。無響室録音した浄瑠璃常磐津三味線と ヴァイオリンの音楽を、明治座と杉田劇場でそれぞれ計測したインパルス応答に畳み込み、あたかもその場所で演奏したような音を作り出し、耳で比較して確認 します。なお杉田劇場(音響反射板設置状況)の残響時間は1.42秒/500Hz空席、中津川市明治座は0.59秒/500Hz空席でした。
■鳳凰座
■白雲座
■常盤座
■明治座
以上の写真撮影:永石 秀彦氏
■杉田劇場
測定は神奈川大学建築学科寺尾研究室、JATET木造劇場研究会、芝居小屋・大向こうの会(全国芝居小屋連絡協議会会員)の3団体の共催で行われました。
測定に当っては次の方々に大変御世話になりました。記して感謝の意を表します。
測 定をしていただいた神奈川大学寺尾研究室の関根助手、4年生の高見鉄兵氏、浄瑠璃常磐津を無響室で謡っていただいた鈴木和英太夫(鈴木英一氏)、三味線 の菊与志郎(柴田 満氏)、無響室録音データを提供していただいた東急建設 、測定場所を提供していただいた杉田劇場の館長 中村牧氏、鳳凰座・白雲座の 2座は中川ひとみ氏(下呂市教育委員会・社会教育課)、常盤座は吉村和昌氏(中津川市福岡総合事務所 文化スポーツ課)、明治座は今井康二氏(中津川市加 子母総合事務所 文化スポーツ課)、段取りと測定風景写真の撮影をしていただいたカメラマンの永石秀彦氏(芝居小屋・大向こうの会)。
な おこの分析結果は、JATETフォーラム2007(9/4、9/5)で発表する予定です。場所は日本大学理工学部1号館6階CSTホール(千代田区神田 駿河台1-8-14)で行われます。申し込みは劇場演出空間技術協会(JATET) TEL:03-5289-8858、FAX:03-3258- 2400、E-mail:info@jatet.or.jp で出来ます。お知らせまで。またJATETフォーラムについては、URL:http: //www.jatet.or.jp/で、ご覧になれます。