日時:2026年4月18日(土) 13:30より
場所:全日本海員組合本部会館地下大会議室
本建物は当初、大高正人が1964年設計したものだが、のち2024年にかつて大高正人設計事務所にいた野沢正光によって改修された。ただ野沢氏は2023年に逝去されたようだ。
出演:石黒健太(野沢正光設計工房 代表取締役)、金沢恵理子(ピアニスト)
主催:公益社団法人 日本建築家協会関東甲信越支部 城南地域会、この会には第4回伊藤邸(旧園田高広邸)から参加を始めた。この時もピアニストは金沢恵理子だった。
以下はその時のblog建築と音楽の集いPartⅣ
(http://yab-onkyo.blogspot.com/2025/04/part.html)
頂いたチラシによれば、第1回目は旧山口文象邸で、昔の我が家の近くにあった。なんどか行ったことがある。30~40年ほど前、山口文象さんの息子さんになる施主はピアニストだった。それより前、東工大の学生時代には山口文象の招待で学生、皆で家に伺ったこともある。庭にあるプールにも入ったような気がする。この建築と音楽の集いにも行ってみたかった。
今回のテーマはモダニズムを紐解く~海“たましい”の静と動で、モダニズム建築とモダニズム音楽だそうだ。モダニズムの建築といえばコルビジェであるが、日本ではその弟子になる前川国男やこのテーマの大高正人になる。1960年代のことだ。その大高正人設計の海員組合本部の建物で、モダニズムの音楽を聴くとどうなるか。これも興味深い。
最初の曲はロシアの作曲家スクリャーピン作曲の幻想ソナタで、海の夜を象徴するものとして書かれたもので、金沢さんの話によるとクリミア半島の海をイメージしているとのこと。1892年作曲のことらしい。今問題になっているクリミア半島のことだと金沢さんから説明があった。
2曲目は、ダルクローズの六つのパガテルで、音楽と運動をミックスするリトミックの音楽教育を推奨したようだ。このダルクローズはたしかコルビジェのお姉さんの子供と言っていた。リトミックは浜松で音楽室に関わった時の施主がこのリトミックを実践している人だった。球形ピアノ室完成(2011.01.07) http://yab-onkyo.blogspot.com/2011/01/blog-post.html
曲目はその他サティのグノシェンヌ、ラベルの亡き王女のためのパバーヌ、プロコフィエフの3つのオレンジへの恋からマーチ、ドビュッシーのアナカプリの丘および喜びの島。いずれもいい曲だった。更にアンコール曲は日本の曲、浜辺の歌で、多分これも海に関係したモダニズム曲になるのだろう。懐かしい曲だ。
その後計画では建物の内部の見学をしていったが、私はこれで満足して、帰ることにした。
このピアノを演奏した大会議室は、以下に写真にも示したが、空間的には大きく、観客席も吸音効果としては影響の少ない音楽には好ましい範囲に収まっていた。音楽には豊かな響きがあった。ただ大きな平面で構成されていて、反射音が強く、音の拡散面が少し不足しているような感じだ。ただし会議室として用いる場合には、吸音効果が少なすぎるような感じで、声の明瞭度に欠けるような気がする。
しかしこの建物と音楽の集いの会は、すばらしい建物と音楽を同時に示せることは大変興味深い機会だ。一般的には音楽は音楽用のホールで演奏されるのを聞くが、音響空間的にはかなりきちんと検討されている。しかしこのような由緒ある建物の中での音楽はいろいろ考えさせることがある。次の建物はどんなものだろうか、気になる。
写真:大会議場の内部、これはコンサートが終了した後の風景、200名ぐらいが座れるのではないか。建物の映像用に映写幕が下がっているが、幕は、低音域以外にはほぼ音の反射面だ。まだ客席には人が座っている。観客席の勾配はきつく、観客席からは舞台は見やすい。側壁はほぼ音の反射面で、内側に傾いていて、強い反射音が客席に帰っている。天井も中央の照明に関係するところ以外は、ほぼ平らで、音の反射面になっている。後壁は可動壁であるが、これも音の反射面である。音楽を行う場合には適当な響きがあっていいが、会議を行う場合には声の明瞭度不足のため、吸音が不足していると思われる。後壁に可動のカーテンなどがあってもいいのではないか。