タイトルはオール・ショスタコと歯切れのよい名前であるが、すべて歯切れの悪い難曲である。
日時:2025年3月15日(土) 14:00開演
場所:みなとみらいホール 大ホール
出演者:ピアノ:北村朋幹、トランペット:林辰則、チェロ:上野通明、ヴァイオリン:山根一仁
オーケストラ:神奈川フィルハーモニー管弦楽団、指揮:キンボー・イシイ
曲目:作曲者は全て ドミトリ・ショスタコーヴィチ
ピアノ協奏曲第一番(正式名称はピアノとトランペット、弦楽合奏のための協奏曲)
チェロ協奏曲第二番
ヴァイオリン協奏曲第一番
ショスタコヴィチは2025年で没後50年を迎えるとチラシに書かれているので、それで時機到来と書かれているのか、それとも何か別の理由があるのか、多分現在若手で活躍しているソリストが、この没後50年のショスタコヴイチの難曲をコンチェルトで演奏することにきっと時機到来と記したのではないかと思う。
ピアノ協奏曲第一番1933年作曲、チェロ協奏曲第二番1966年作曲、ヴァイオリン協奏曲第一番1948年 チラシによればピアノ協奏曲第一番はムチェンスク郡のマクベス夫人を書き終えたころとあるが、スターリン体制の批判めいたこともあり、作曲家として生きることが大変だったと想像できる。和声の部分とリズムの部分を時々入れ替えるようななかなかついていくことが難しい曲だ。ヴァイオリン協奏曲もこれも難しい曲で、多様な打楽器からチューバ、ハープ、チェレスタなどが使われているとあり、気になった音のヴィブラフォンもあるかもしれない。またチラシには「レ・ミ♭・ド・シ」という音階も時々使われているようだ。なんだかテトラコルド※の話の延長かもしれない。スターリンの体制から強く圧力を受けていたとのこと。(※吉田さんの論文の巻末に示しているテトラコルド http://yab-onkyo.blogspot.com/2025/01/202412.html)
チェロ協奏曲第二番は作曲家同盟第一書記などの就任やレーニン賞の受賞など名誉を回復するに至ったが、身体的不安があり、この作品に影響を与えたとのこと。私にとっては一番聞きやすい曲のような気がした。とにかくこのコンサートは刺激の大きなものだった。私の勝手な解釈では、和声の部分は従来からの気持ちのこもったききやすい部分で、打楽器などのリズムの部分は勇ましい戦争を表した部分で、それらの要素がまじりあって技術的に難解な、また表す意味も難解で複雑な曲になっているためではないかと思う。