クルグズの壁掛けの刺繡布トゥキッシュ・キーズ展に合わせて、企画されたウメトバエワ・カリマンによるコムズコンサート 場所:vivid Kギャラリー 、時刻:2024年7月27日(土)開演17:30から19:00まで
観客は15名程度、カリマンさんがキルギス(旧ソ連時代の名前、今はクルグズ)にいったことのある人と言いかけて、行ったことのない人という質問をしたところ私を含めて3~4名しかいなかった。ほとんどが行ったことがある人たちであった。
カリマンさんの生徒さんと紹介された男の人が合奏時に演奏に加わった。ソ連時代に合奏が始まったようだ。またカリマンさんがなんとかを演奏すると言って、暫くして間違えた、違う曲を演奏してしまった、といったら観客のある人が、間違えていないのではと発言してたのでさらに演奏すると、観客のその人が間違えていましたと言い直し、最初から演奏をし直していました。
このように観客と結構コミュニケーションがあった。またこのコブスにはどうも楽譜がなく、口伝えで伝承する形の様だ。さらに手の身振りによる表現も演奏のうちにふくまれている感じだ。さらにコムズを肩にしょったりしながら演奏もしていた。またコブスは3弦でフラットのない楽器で、杏子の木からつくられたひょうたんをたてに割ったような平らな形で、しかも演奏に加わった人は左利きで、多分3本の弦を上下張り替えて、左利きで演奏してた。かなり扱い方に自由度がある。
さらにモンゴルにある口琴のような楽器でも演奏していた。この音にあわせてコブスも調弦をしていた。
以下の写真に示すように、演奏者の周辺は刺繍がされた布があり、それなりに吸音された空間であり、この楽器には好ましい空間のように思われた。
実は私は20年ほど前にカザフスタンに行って、ドンブラ用のホールの音響設計をするつもりでいた。これも現在のカザフスタンのホールはクラシック音楽用につくられていると思われたが、2弦でフラットのあるマンドリンのような形のドンブラの起源は、遊牧民の家のユルトの中ではないかと思われる。ユルトの表面は、羊の毛皮で作られたフェルトで、強いて言えば吸音材で出来ている。したがってドンブラの演奏はその中か、草原の中の馬の背なかの上で行っていて、したがって残響の短い空間で演奏されていたように思う。したがって新たな設計をするにあたりどうするか悩んだ。しかしリーマンショックで残念ながら計画はなくなってしまった。しかし今回のクルグスのコブスにしろ、ドンブラしろ、さらにはオペラやフラメンコや能・狂言や浄瑠璃など、ホールでは、クラシック音楽とは別の音響特性が必要と感じている。
当日、オペラ モーツアルト 歌劇魔笛 16:00開演 江東区文化センターホールで行われた公演も気になっていて、日時が重なっているので、いけなかったが、気になっていた公演である。