フェルメールは1632年にオランダで生まれた。そして同時にレーウェンフック、スピノザも同じ年に、同じ国に生まれた。彼らに共通なテーマは、フェルメールの作品の中の「光のつぶだち」であった。「フェルメール 光の王国」の著者は福岡伸一で、専門は生物学者である。
p.11にはアインシュタインも出てくる。「光が、音や電波のような振動、というよりはむしろ粒子であることを理論的に予言したのはアインシュタインである。」
p.74の「窓辺で水差しを持つ女」(メトロポリタン美術館収蔵)では「窓から入る光が金属の水差しを光らせる。その一瞬を“微分”することに成功した。」
p.90 「ガロアは1811年、パリ郊外の町ブール・ラ・レーヌで生まれた。」「歴史の劇薬のようなフランス革命が勃発して20年。フランスは激変していた。」「1823年、12歳になったエヴァリスト・ガロアは中略 当時の旧学制では、LLGは中学校であった」「フランスの偉大な数学者アドリアン⁼マリ・ルジャンドルの「幾何学原論」が教科書に指定された。」最初は「幾何学の目的は空間の測定にある。」「幾何学の目的は空間の測定にあることに、ずっと意識的だったのは、ガロアひとりだけではない。“神々がめでた人”はここにもいる。」
p.209 「ガリレオは土星の発見者としても知られてる。望遠鏡で不思議な形をした星を見つけた。しかし、彼の望遠鏡はまだ十分な解像力を持っていなかった。」
このように著者は科学者であり、本の随所に物理的な言葉が出てくる。この本のテーマは“光のつぶだち”が対象となっていて、音のことは検討の対象ではない。しかしひょっとしてフェルメールは、音も対象としているかもしれないと思って、以下を書いてみた。
実はフェルメールは音楽に関係している絵もたくさんある。気になるのは絨毯がテーブルの上にかけてあることだ。普通考えると絨毯は床の上に敷くものだと思ってしう。ただこの絨毯は手織りで、高価だと思われるので、床ではなく装飾としてテーブルの上に敷いていたのかもしれない。しかしさらに絨毯が残響調整のためにあったとも考えることもできる。
p.139には「ヴァージナルの前に立つ女」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵)がある。この絵には残念ながら絨毯が絵の中に存在していない。床・壁と額に入った絵が見える。しかしこの絵にはないがどこかの場所に置いてあるのではないか?
この時代はガリレオや、ニュートンなども科学の分野で活躍していたし、シェークスピア、ドン・キホーテのセルバンテス、さらにオペラ、歌舞伎など、新たな動きが演劇にもあった。