国立民族学博物館で『旅する楽器 南アジア、弦の響き』という企画展(2019年2月21日~5月7日)を行っており、大阪での仕事の帰りに立ち寄ってみました。
国立民族学博物館は大阪府吹田市千里万博公園の中にあります。最寄り駅は大阪モノレールの万博記念公園駅です。そこから太陽の塔のわきを通った先に博物館があります。
2007年に、トルコのイスタンブールで開催されたInter Noiseの大会に参加した際、街を歩いていて大変びっくりしたのは、楽器店が多くあり、しかもエレキギターなどの電気楽器はほぼなく、ほとんどが弦楽器のサズおよびその種の民族楽器だったことです。サズは町の店舗の壁にもかけられており、いつでも弾ける状態になっています。街を歩く人の中にも楽器のケースを持っている人がたくさんいたので、一人に「それは何ですか」と声をかけると、路上でサズをケースから出して弾いてくれました。そのくらい身近に民族楽器があることに驚きました。
2007年トルコの楽器店 |
トルコの楽器店にて |
トルコの楽器店にて |
トルコの楽器店にて |
トルコの楽器店にて |
また、2008年にはカザフスタンに行きました。カザフスタンの民族楽器であるドンブラ及びコブスを演奏するホールの音響調査が目的でした。ドンブラは馬の足音のような弾き方で、コブスは重厚なチェロのような音を出す楽器です。カザフスタンは独立後に民族楽器の復興につとめており、その当時ドンブラ用のコンサートホールを作るという計画があったのですが、アメリカ発信のリーマン・ショック(2008年)の影響でカザフスタンにおける建設計画もかなり止まってしまい、このドンブラホールの建設計画も中止されてしまいました。とても残念なことです。
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これらの旅行を通じて、様々な楽器が様々なところで存在していることが気になっていました。
また昨年には、「テュルクソイ」というテュルク語系諸民族の民族楽器の合同オーケストラの演奏を聴く機会もあり、このブログでもご紹介しました。
今回は、たまたま国立民族学博物館で開催されていた『旅する楽器 南アジア、弦の響き』の展示会に行った次第です。これだけ様々な楽器が一堂に陳列されているのを見るのはなかなかないことです。サズやドンブラ、コブスは単独にそれぞれの地域に存在していることはわかりますが、その他の地域、西アジア、中央アジア、南アジア、中国、東南アジアとのつながりが感じられます。
正直、弦楽器だけでもものすごい数が存在していることがわかりました。おそらく管楽器や太鼓なども入れると相当な数になると思います。
季刊166. 2018民俗学『特集 旅する楽器』のP.4に「楽器は、特定の地域で生まれ、その場所で何世紀にもわたって伝承された『土着』型がないわけではないが、圧倒的に多いのは他地域から伝播し定着した楽器である。」とありました。
「旅する楽器展」は西アジア、中央アジア、南アジア、日本、中国、東南アジアにある楽器のルーツを探るもので、大陸の東のどん詰まりにある日本の楽器、三線、三味線、箏などもどういう経路を経てきたのかと思いをはせました。
『旅する楽器 南アジア、弦の響き』より |