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2018/08/31

超音波発信システムを自作した

 自動車の自動運転においては、超音波を発信して反射波で距離を計測し、何らかの制御を行っている。そのために自動車関連メーカーの無響室では超音波を計測することが必要になってきており、その検収測定を依頼された。

 しかし超音波領域(100kHz)まで計測するためにはこれまでの測定機材では不十分であり、まず「超音波発信機」および「超音波増幅器」、そして「超音波の無指向性音源」が必要となった。超音波発信機や増幅器は市販されているものもあるが、かなり高価である。さらに無指向性スピーカは市販されていない。そのため自作を試みた。

 超音波発信機は、エヌエフ回路設計ブロックという会社の、ランダムバイナリージェネレータCG-742Nというモジュールを用いた。このモジュールとホワイトノイズフィルターSR-4BLを組み合わせることで、100kHzまでのノイズジェネレータが安価にできることがわかった。しかし実際に組み立てるに当たっては、エヌエフ回路設計ブロックの技術者に大変お世話になった。
 
 増幅器は、一般的なものはオーディオが目的であるため、せいぜい20kHzまでが対象で、100kHz まで増幅できるアンプはほとんどない。しかし今はハイレゾ対応のものがでてきており、今回は共立電子産業のアンプキットWP-AMP7294STを、電源トランス及びケースを含めて買って組み立てた。ステレオで出力40Wのもので、20Hz~100kHzまで増幅できるものである。この組み立ても案外難しく、共立電子産業の技術者のお世話になった。

 スピーカは、パイオニア製カーオーディオ用のリボン型スーパーツイータ(TS-ST910)で、7000Hz以上のハイパスフィルターがついてステレオで売られている。このツイーターを無指向性に加工することにした。まず台を除いて作成したべニア製の箱の中に2台並べて入れ、上部に20mmの孔を開けて、開口部上に邪魔板を設置して超音波無指向性音源とした。再生周波数帯域は7000Hz~100000 Hzである。定格出力は50W。再生音圧レベルは90dBである。

 実際に音を出して周波数帯域が100kHz まで出力していることを確認した。また無響室の検収も無事に終了した。

 今回問い合わせしたモジュールやキットのメーカーの方々は非常に知識があり丁寧で、商品にどのような機能があり、どのような部品と組み合わせればよいかなどの指導が的確で、こちらも知識を得られ大変すばらしい経験となった。

左からホワイトノイズジェネレータ、アンプ、無指向性超音波スピーカ