「日本の伝統芸能に親しむ 地歌舞の魅力」と題して、「山村楽千代 舞二十番への道(其の四)」の公演が5月9日(日)2時からありました。公演は、村尚也氏の解説と以下の3演目です。村氏によると今日は久良岐能舞台始まって以来の超満員ですとのこと。
演目
地歌舞 からくり的、山村楽千代、地歌(歌と三弦) 藤井泰和
地歌舞 狐の嫁入り、おどりの空間(5名)地歌はテープ
地歌舞 鉄輪(かなわ)、山村楽千代、地歌 藤井泰和、
鳴り物 望月太意吉、望月太意三郎、福原 徹
こちらは庭園にガラス障子で開かれている能舞台ですが、今日は若葉もきれいなよい天気なのに、雨戸が閉じられており外が見えません。その理由は、狐の嫁入りの公演のときの暗転のためでした。真っ暗やみの舞台を、一列の小さい火が橋掛からにじり口まで横切った瞬間、狐が化けた花嫁姿の5名が舞台に立っていたり、真っ暗やみの中に狐がにじり口から顔を出したり、幻想的な雰囲気が醸し出されていました。また踊りもしぐさが狐らしく、とても楽しいものでした。
からくり的は、楊弓場(江戸では矢場といった)で的を射ると、仕掛けで天井からさまざまなものが落ちてきます。その落ちてくるもの、例えば武者や白拍子や羅生門の鬼などを踊りで表現します。また鉄輪は、奥さんが鬼に変身し、浮気をした夫の彼女を呪い殺そうとする話です。この二つは精神性や象徴性が強く、能のような所作表現のために高度に想像力が必要な内容です。地歌舞すべてがこのように象徴性(村さんは、見立てという言葉を使っていました)があるのかどうかはわかりませんが、現代の演劇でも通用する内容だと思います。
また隣に座っていた方は、この久良岐能舞台で謡曲と能を習っているそうです。学生時代に上京され、昭和26年歌舞伎座が再度オープンした時から歌舞伎座に通っていたそうで、しかも金比羅歌舞伎も面白いと教えてくれました。とくに金比羅歌舞伎は一晩泊まることが重要で、役者たちが行く飲み屋を見つけて、一緒に飲めると言っていました。もうおそらく80歳近い方ですが、お元気で、今年の祇園の都踊りも行ってきたそうです。しかもお仕事は、芸能関係ではなく、工学部卒の技術者とのこと。興味深いお話をいろいろうかがうことができました。また機会があればぜひお会いしたいです。
次回の公演は、6月13日(日)午後二時より女流義太夫です。これも面白そうです。また切符は完売になりそうですね。