日時:2025年2月9日(日) 午後2時開演
場所:サントリーホール ほぼ満席
指揮 キンボー・イシイ
演奏:ジュニア・フィルハーモニック・オーケストラ
曲目:第一部 リヒャルト・シュトラウス /13管楽器のためのセレナード、
リスト/ 交響詩「レ・プレリュード」
第二部 フランク/ 交響曲ニ短調
リヒャルト・シュトラウスの13管楽器のためのセレナードで、R・シュトラウスが18歳の時に書き上げたとパンフレットに書いてある。『R・シュトラウスが残した唯一の独立した器楽用セレナードであるこの曲は、それぞれ2本ずつのフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットと1本のコントラ・ファゴット(またはチューバ、コントラバス)、そして4本のホルンのために書かれており「ハーモニームジーク(古典派からロマン派にかけて流行した管楽合奏形態で、ホルンとファゴット、それに加えてオーボエとクラリネットのいずれかあるいは両方を通常2本ずつ使うのを原則とする)」、、、』 今回の演奏では総勢14名程度で少人数、またコントラバスが使われていた。この管楽器を2本ずつ使うことがミソだと思う。このことで豊かな響きが得られていると感じる。2本の管楽器が少しずつ音を違えていると和音が出来て、なおいいように思うが実際にはどうなんだろう。この2管編成は古典派からロマン派にかけて流行したとある。クラッシック音楽の始まりの頃だ。和音をだいじにする純正律が始まったころだと思われる。しかも若々しく、元気な曲で、作曲者の若々しい感じがよく演奏にあらわれていた。
次のリストの交響詩レ・プレリュードは、オーケストラは大編成で舞台一杯に演奏者が並んだ。チラシによれば『人生は死へのプレリュード=前奏曲である。』とリストは語ったようであるが、この言葉とは違い、時折大自然の風や雷のような状態があり、また美しいハーモニーがあり、これも若々しい曲とかんじた。これはホンダの車プレリュードの広告に使えそうなわくわくした感じで、いい曲だった。
後半のフランクの交響曲ニ短調は、フランクの晩年の作品だそうだ。荘重なメロディーが時折り返され、最期に勢いよく終わる。悩んで悩んで、突き抜けていく感じで、この曲も若々しく、勢いのあるものだった。
キンボーさんは、指揮をするときには、指揮台に立って棒を振っているが、お客さんに挨拶するときには、指揮台から降りて挨拶をしていた。このことはジュニアフィルの若々しさと相まって、すがすがしい感じになっていた。
私はR・シュトラウスの曲は管楽器を2本ずつ使ってハーモニーを醸し出す工夫をしているのではないかとメールをしたら、先ほどキンボーさんからメールをいただいた。『どの楽器(とくに管楽器)にもそれぞれ本来の音程傾向のようなツボがあり、それを個々の奏者が正す際に多少の調整のズレは生じるものですが、今回の演奏に限ってい言えば、それがたまたまピタゴラス音律と純正律の狭間を往復した結果となった可能性があります。、、ただ、倍音が長い楽器から合奏の動線を取ってもらうよう努力はさせました。整った音程が、必ずしも美しい音程ではないのですが、そこも個性であるべき箇所。答えのない永遠のテーマでしょうか。。』
なるほど!! その結果の演奏は大変良かったですね。またうかがいます。
写真:サントリーホールの横通路の舞台側の自分の席から、コンサートが始まる前に撮影