古屋和子氏主宰のタイトルの語りの研究会が2月26日 東京 広尾の東江寺の本堂でありました。演目は次の2題です。それぞれ約1時間あり、合計約2時間、会費は500円。
藤沢修平作 -橋物語―より 『約束』
演出 相生二郎、語り 畑板智保/野口 英
谷崎純一郎 作 『刺青』
語り 武 順子、 津軽三味線 山本竹勇
東江寺本堂とは、仏壇の手前の、お坊さんが一般的にお経をあげる場所が5m角ほどの能舞台になっていて、その周辺が畳敷きになっています。能舞台の部分の中央に敷物をして、その上で語り手が語り、舞台周辺3方に最前列は座布団、その後は低いベンチが設置されて100名ほどのお客さんがいらしてました。お客さんの目の前には、ご本尊の仏像がこちら側を眺めていらっしゃるので、静謐な感覚になります。
『約束』は江戸時代、若い二人が、5年後にある橋で再び会おうと約束をして、それを目標に、さまざまな苦しい日々を生きながら、ついにその日を迎える感動的な話です。語りを聞いていると想像が働き、場面の鮮明な映像が浮かんできます。畑板さんは手に急須の蓋の様な形の楽器?を2枚持っていて、話が転換するところで打ち鳴らすと、かなり印象的な唸りが聞こえます。前回のブログに書きましたが、蓋のそれぞれの固有振動数が多少ずれているための現象です。
『刺青』は、刺青師が彼の理想とする美しい若い娘さんの背中に、勝手に麻酔をして女郎蜘蛛の刺青をしてしまう話で、背徳の匂いのする話です。津軽三味線をバックに語られ、また三味線の唸りが聞こえ、幻想的です。
2月22日の朝日新聞に学校やお寺で結ぶ縁というテーマで紹介されていた大阪のお寺、應典院(おうてんいん)では、演劇や講演会をしていると書かれていました。このようにお寺の本堂もいい演劇やコンサートの場所になりうると実感しました。
次回の東江寺の明空風堂は、3月26日(土)2:30開演、大和楽だそうです。
2011/03/01
唸り音について
二つの周波数のわずかに異なる純音を重ねると、異なる周波数を周期とする唸り音が発生します。この違い方がたとえば100Hzと101Hzのように1Hz異なると1Hzの周期で唸りが発生し、ウオ―ン、ウオ―ンと聞こえます。これが心臓の鼓動に近いと気持ちが悪くなるような音となり、相当小さな音でも騒音クレームとなることがあります。
騒音クレームとなるような唸りが発生する現実の状況とは、例えば同じ機種のプロペラファンやポンプやコンプレッサーが2台以上ある機械で、それぞれの負荷が多少異なる場合に回転にずれが生じ、唸りが発生します。この場合には、唸りの周波数が時々変化するために、それも気持ちが悪くなる要因となります。さらに具体的言うと、ルーフファンやポンプや空調室外機ないし冷凍室外機でコンプレッサーが複数台入っているようなものに唸りが生じます。とにかく2台以上同じ回転機械があると唸りが発生しやすいために、回転数を大きく変化させて設置することが重要です。これらのことはメーカや設計者に注意を促したく思います。
また、この唸り音はよく超低周波音と間違われます。超低周波音は、20Hz以下の耳では聞こえない低い周波数の音ですが、障子がガタガタしたり、胸に圧迫感が起こったりします。しかしこの超低周波音を感じるような音圧レベルは、一般の空調ないし冷凍用室外機からは発生しません。また低周波音という言葉もあります。これは1~80Hz程度までの超低周波音を含む低い周波数の音です。「低周波」という言葉だけが独り歩きし、姿の見えない恐ろしいもののように扱われている場面によく出くわします。しっかりと、音として認識することが重要です。
そもそも音楽の音階の始まりであるピタゴラスの音律は、いかに唸りを生じさせないかということに注意して作られています。基本の周波数に対し1.5倍して唸らない二つの音の関係を作り、さらにそれを1.5倍するということを繰り返し、基本の周波数に対して2倍(オクターブ)を超えたら2で割って、さらに続けて音階を作っています。1対1.5の関係はドとソの関係です。それがピタゴラス音階で、作られたのは紀元前550年ほど前のことです。そのころから人類は唸り音が嫌いなようです。
しかし、一方よく聞き慣れた日本のお寺の鐘は唸ります。この唸りはわざわざ唸るように作ったものだと思われます。おそらく、人々の願いが天に届くように唸りをつくっているのだと考えています。インドネシアの楽器、ガムランの音楽も唸りが特徴的です。日本の三味線や琵琶なども唸りが生じています。また現在では西洋音楽は平均律を用いていますから、厳密に言えば唸りが発生しています。20世紀の音楽家はこの唸りを利用することがあるようです。例えばメシアンの曲などはピアノが唸りを生じることで幻想的な雰囲気をつくりだしているようです。これらの場合には、唸りの音は、超自然的な場面を感じさせるのではと思います。このように、この唸りが気持ちよく聞こえるか、気持ち悪く聞こえるかは紙一重のところがあります。気持ちのよい唸り音の条件としては、少なくとも音が減衰していく必要があると感じます。
騒音クレームとなるような唸りが発生する現実の状況とは、例えば同じ機種のプロペラファンやポンプやコンプレッサーが2台以上ある機械で、それぞれの負荷が多少異なる場合に回転にずれが生じ、唸りが発生します。この場合には、唸りの周波数が時々変化するために、それも気持ちが悪くなる要因となります。さらに具体的言うと、ルーフファンやポンプや空調室外機ないし冷凍室外機でコンプレッサーが複数台入っているようなものに唸りが生じます。とにかく2台以上同じ回転機械があると唸りが発生しやすいために、回転数を大きく変化させて設置することが重要です。これらのことはメーカや設計者に注意を促したく思います。
また、この唸り音はよく超低周波音と間違われます。超低周波音は、20Hz以下の耳では聞こえない低い周波数の音ですが、障子がガタガタしたり、胸に圧迫感が起こったりします。しかしこの超低周波音を感じるような音圧レベルは、一般の空調ないし冷凍用室外機からは発生しません。また低周波音という言葉もあります。これは1~80Hz程度までの超低周波音を含む低い周波数の音です。「低周波」という言葉だけが独り歩きし、姿の見えない恐ろしいもののように扱われている場面によく出くわします。しっかりと、音として認識することが重要です。
そもそも音楽の音階の始まりであるピタゴラスの音律は、いかに唸りを生じさせないかということに注意して作られています。基本の周波数に対し1.5倍して唸らない二つの音の関係を作り、さらにそれを1.5倍するということを繰り返し、基本の周波数に対して2倍(オクターブ)を超えたら2で割って、さらに続けて音階を作っています。1対1.5の関係はドとソの関係です。それがピタゴラス音階で、作られたのは紀元前550年ほど前のことです。そのころから人類は唸り音が嫌いなようです。
しかし、一方よく聞き慣れた日本のお寺の鐘は唸ります。この唸りはわざわざ唸るように作ったものだと思われます。おそらく、人々の願いが天に届くように唸りをつくっているのだと考えています。インドネシアの楽器、ガムランの音楽も唸りが特徴的です。日本の三味線や琵琶なども唸りが生じています。また現在では西洋音楽は平均律を用いていますから、厳密に言えば唸りが発生しています。20世紀の音楽家はこの唸りを利用することがあるようです。例えばメシアンの曲などはピアノが唸りを生じることで幻想的な雰囲気をつくりだしているようです。これらの場合には、唸りの音は、超自然的な場面を感じさせるのではと思います。このように、この唸りが気持ちよく聞こえるか、気持ち悪く聞こえるかは紙一重のところがあります。気持ちのよい唸り音の条件としては、少なくとも音が減衰していく必要があると感じます。