前回ブログでご紹介した、芝居小屋の音響測定を8月18日~23日に無事行うことができました。
18日は、四国琴平の旧金毘羅大芝居金丸座、19日愛媛県内子町の内子座、20日福岡県飯塚市の嘉穂劇場、21日熊本県山鹿市の八千代座、22日再び金丸座、23日兵庫県豊岡市出石町の永楽館で、音響測定を行い、24日無事横浜に帰って来ました。
出発から考えると8日間の測定の旅でしたが、各芝居小屋のある地元の多くの方々に大変御世話になったことを大変感謝するとともに、またこの雨の多い異常気象の中、一度も測定中に雨や風に影響を受けることなく終了できたことは、不思議な気持ちが致します。
測定は、劇場演出空間技術協会建築部会の中の木造劇場研究会が主催し、全国芝居小屋会議と神奈川大学建築学科寺尾研究室と共同で行ったものです。また、東洋大学建築学科藤井研究室の中村さん、また伝統技法研究会の衣袋さんにもご協力をいただきました。またこの研究に関して、ポーラ伝統文化振興財団に助成をいただき、大変感謝いたしております。
現在は測定を行ったデータをまとめており、10月18日、19日に計画されている第14回全国芝居小屋会議永楽館大会にて発表予定です。昨年は、岐阜県にある4座、白雲座、常盤座、鳳凰座、明治座の音響測定を行い、第13回全国芝居小屋会議川越大会で発表をさせていただきました。
昨年は一般的な音響性能である残響時間のほかに、それぞれの劇場の音響シミュレーションを行いました。方法は、舞台からパルスを発し、客席で劇場空間の反射音構造であるインパルス応答を求め、無響室で録音をした三味線とヴァイオリンの音楽を重ね合わせて、あたかもその劇場で演奏されたかのような音を作り出し、耳で聞いて主観評価を行うというものです。その結果、三味線音楽は、コンサートホールのような残響のある空間ではなく、芝居小屋のようなあまり残響のない空間の方が好ましく感じられることがわかりました。今回も、それと同じような実験に加え、上半身マネキンのような形で耳の位置にマイクが仕込まれているダミーヘッドを使用してインパルス応答を求め、音の方向感を分析しようとしています。また昨年と同様に、クラシック音楽仕様の劇場である横浜の杉田劇場に協力を得て、このダミーヘッド録音を行い、各芝居小屋と比較しようとしております。10月の永楽館の全国芝居小屋会議の発表において、芝居小屋には芝居小屋独特の良さがあることを示せると良いと思っています。
第14回全国芝居小屋会議永楽館大会に参加されたい方は、全国芝居小屋会議in永楽館実行委員会事務局、豊岡市教育委員会出石分室(TEL:0796-21-9029)、出石城下町を活かす会事務局(TEL:0796-52-2793)に、お早めにご連絡をお願いいたします。
金丸座
金丸座内観
内子座
内子座内観
嘉穂劇場
嘉穂劇場内観
八千代座
八千代座内観
永楽館
永楽館内観