NHK教育テレビ朝の5:30からの30分番組です。
7/8はアナウンサーとゲストで俳人の黛まどかさんが、歌舞伎座を紹介し、続いて唐破風の屋根をくぐり、楽屋で片岡仁左衛門と対談をしました。楽屋は、和風旅館のような、床の間がある和室でした。
片岡仁左衛門が、もっとも緊張する劇場がこの歌舞伎座だそうです。メジャーということも有りますが、先人たちのぬくもり、先人たちの舞台の積み重ねがあるからと話していました。
日本には様々な劇場があり、そこでも緊張していないというわけではないと説明しながら、四国金毘羅の金丸座の紹介になり、そこは観客と舞台が一体化していること、観客が120%楽しみに来ているところなので、俳優も観客から影響を受けるといっていました。また木造で音が外と通通なため、楽屋にいると、鶯の声が聞こえてくると。これは気持ちがいいのでしょうね。そういえば四国金毘羅大芝居は例年4月に行われています。
歌舞伎は季節感が重要で、昔は冷暖房が無かったので、夏には夏の芝居、冬には冬の芝居を行っていたそうです。その中で、音が重要な役割をしていると言われていました。
舞台が開く前の柝の音、効果音は全て生音を使っていて、俳優と動きをあわせていること、
また歌舞伎のオーケストラピットである黒御簾を中の紹介し、歌舞伎の音楽は黒御簾音楽と言われているといった
スタジオでは、雨の音、雪の音、川の音、幽霊の音を紹介、雨の音は大阪と関東は違うようで、関東の雨は大太鼓で表現し、大阪の音は小太鼓で、高い音をだして表現するそうです。これは傘の張りが大阪の方がピンと張っているからだそうです。繊細なこだわりを感じます。川の流れの音も大太鼓で表し、そこに三味線がはいると舟の往来の表現になるそうです。
「音色」という言葉は、音に色を感じる日本人の独特の感じ方を表していると片岡仁左衛門は言っていました。音響技術者が実験に使う、ホワイトノイズもピンクノイズも西洋で音を色に例えたものではありますが、ただし自然の音となると感じ方は大きく違うようです。
歌舞伎は400年間続いた江戸時代の世界の異空間であり、それを勉強のためにではなく、体験するために劇場に来てほしいと言っていました。
歌舞伎界では、歌舞伎座と木造芝居小屋である四国金毘羅金丸座の存在が大きいことがわかりました。特に現代の我々にとっては、この金丸座は『現代の劇空間』として、見直す必要があると思っています。
今年の夏、JATET建築部会木造劇場研究会と全国芝居小屋会議および神奈川大学寺尾研究室と共同で、金丸座を含むいくつかの芝居小屋の音響調査を行う予定です。音響技術という観点からも木造芝居小屋の良さを発見していくつもりでいます。
また7/7の12CHの夜のテレビ番組ワールドビジネスサテライトでは、音による商品の差別化の話がされていました。カメラのシャッターの音、化粧品のコンパクトの開閉音などで、高級感や一体感などが表現されているようです。日本人の独特の音に対する鋭い感覚も商売のネタになっているようです。
2008/07/11
2008/07/07
杉田劇場で『モンゴルの風コンサート』を聞きました
6月21日(土)杉田劇場で、馬頭琴のコンサートを聴きました。
演奏は内モンゴル出身のリポー(李波)さんです。1995年から日本に住んで活動を続けてこられ、また昨年からはワシントン大学の民俗音楽科で指導されるためアメリカに滞在されています。モンゴルと比べ、日本とワシントン州は緑が多くとてもきれいだとおっしゃっていました。リポーさんのモンゴルの家では、羊を何千頭も飼っていたそうですが旱魃で食物の草が枯れ死んでしまったそうです。
馬頭琴は、四角い形をした共鳴箱を両足のひざで抱え、棹を立てて演奏します。棹の頭には馬の頭の彫刻がされていて、それで馬頭琴といいます。弦は2弦で、弓も弦も馬の尻尾でできています。音は、ちょっとだみ声のチェロといった感じですが、弾き方もチェロに似た感じです。馬頭琴で演奏される曲には、やはり草原を走る馬の足音を感じます。
曲目はモンゴルの曲だけでなく、りんご追分などの日本の曲から、クラシックやチャルダッシュのテンポの早い演奏にも挑戦されていました。バイオリンは4弦、馬頭琴は2弦ですから相当な技術だと感じました。また伝統音楽の楽器であるのに、かなり融通が利くことに驚きました。
舞台は、音響反射板を除いた幕設備の状態になっており、残響が短くなります。私も、この状態が馬頭琴の演奏には良いと思って聞いていました。
コンサート終了後、リポーさんとお話させていただいた際、馬頭琴の演奏にはどのようなホールが良いですかと聞きましたら、もともと草原で演奏していましたからとおっしゃいました。音楽はその育った環境と一体だと改めて感じた次第です。
演奏会では、杉田劇場館長の中村牧さんのピアノ伴奏あり、また小中学生のリコーダーとのアンサンブルもあり、地域に根ざしたコンサートを盛り上げようとの熱意を感じました。
7月3日の朝日新聞の朝刊に、モンゴルで暴動とあり、デモ参加者が与党人民革命党の本部を放火し、隣接する文化センターにも延焼、入居する馬頭琴交響楽団の事務所が襲われ、馬頭琴も壊されるか、盗まれるかしたと書かれていました。原因は総選挙への不満、ガソリンの値上げなどの物価高、汚職、貧富の格差の拡大への不満と書かれています。貴重な楽器や楽譜が奪われてしまったことは非常に残念です。
演奏は内モンゴル出身のリポー(李波)さんです。1995年から日本に住んで活動を続けてこられ、また昨年からはワシントン大学の民俗音楽科で指導されるためアメリカに滞在されています。モンゴルと比べ、日本とワシントン州は緑が多くとてもきれいだとおっしゃっていました。リポーさんのモンゴルの家では、羊を何千頭も飼っていたそうですが旱魃で食物の草が枯れ死んでしまったそうです。
馬頭琴は、四角い形をした共鳴箱を両足のひざで抱え、棹を立てて演奏します。棹の頭には馬の頭の彫刻がされていて、それで馬頭琴といいます。弦は2弦で、弓も弦も馬の尻尾でできています。音は、ちょっとだみ声のチェロといった感じですが、弾き方もチェロに似た感じです。馬頭琴で演奏される曲には、やはり草原を走る馬の足音を感じます。
曲目はモンゴルの曲だけでなく、りんご追分などの日本の曲から、クラシックやチャルダッシュのテンポの早い演奏にも挑戦されていました。バイオリンは4弦、馬頭琴は2弦ですから相当な技術だと感じました。また伝統音楽の楽器であるのに、かなり融通が利くことに驚きました。
舞台は、音響反射板を除いた幕設備の状態になっており、残響が短くなります。私も、この状態が馬頭琴の演奏には良いと思って聞いていました。
コンサート終了後、リポーさんとお話させていただいた際、馬頭琴の演奏にはどのようなホールが良いですかと聞きましたら、もともと草原で演奏していましたからとおっしゃいました。音楽はその育った環境と一体だと改めて感じた次第です。
演奏会では、杉田劇場館長の中村牧さんのピアノ伴奏あり、また小中学生のリコーダーとのアンサンブルもあり、地域に根ざしたコンサートを盛り上げようとの熱意を感じました。
7月3日の朝日新聞の朝刊に、モンゴルで暴動とあり、デモ参加者が与党人民革命党の本部を放火し、隣接する文化センターにも延焼、入居する馬頭琴交響楽団の事務所が襲われ、馬頭琴も壊されるか、盗まれるかしたと書かれていました。原因は総選挙への不満、ガソリンの値上げなどの物価高、汚職、貧富の格差の拡大への不満と書かれています。貴重な楽器や楽譜が奪われてしまったことは非常に残念です。