ページ

2008/02/13

長岡リリックホールの見学

2/6新潟の長岡で騒音対策の仕事があり、翌日は出発まで時間があったため朝9時前から、長岡リリックホールの見学に向かいました。
長岡リリックホールは、地域住民が集まる大きな文化施設ですが、長岡の市街地ではなく、信濃川を渡って市街地から数キロ離れた場所に存在します。

雪の信濃川を見ようと激しく降る雪の中徒歩で向かいました。商店街は昔で言えば雁木があるために、傘の必要はありません。まだ朝が早いためにどこもシャッターが閉まっていましたが、前日の夜は賑わっており、活気ある商店街といった感じがしました。空店舗もボランティアの事務所となっていたり、長岡空襲の展示室になったりしています。

商店街を抜けると、雁木が無くなり、歩道の脇からは融雪装置の水が噴水のように噴出していて非常に歩きにくくなります。3kmほど歩いたところで、信濃川を渡る長さ1km近い橋(大手大橋)がありました。





景色はいいのですが、やはり歩道の噴水と車が雪水をはねるのを避けながら歩くのは大変で、ほかに歩く人は見かけませんでした。

橋を超えたところには、地方のバイパス沿いによくある風景が現れました。大型ショッピングセンター、ファミリーレストラン、巨大な看板だらけの道路。これらは、旧市街地を壊していく直接的な原因となるものです。





ショッピングセンターの角を右にまがり、川と平行の道をさらに約2km歩くと、長岡リリックホールの背面に出ました。屋根の曲面が雪の景色と良く合い、とてもきれいです。





10時を多少過ぎており、事務所に寄ってみると、ホールの中を案内していただけることになりました。
コンサートホールはピアノの調整中でした。壁はワインレッドのビロードのような布で出来ており、ヨーロッパの音楽の楽しい雰囲気が伝わってきます。



2月のスケジュールもかなり埋まっていました。劇場の方は、壁は黒、舞台も黒で、現代演劇空間といった感じです。長岡リリックホールに隣接して、県立美術館もあります。とてもきれいな公園の中にあるために、美しい建物が映えていました。
帰りは、タクシーを呼んで帰りましたが、ホテルまで1600円ぐらいと、ちょっと中心市街地からは遠く、市街地のにぎわいに貢献するようにはできていません。

最近、江戸の芝居小屋について書かれている『大いなる小屋』(服部幸雄 著)を読みました。江戸三座は、江戸中心からは離れ、当時では辺鄙な浅草猿若町に在りました。劇場へは屋形船などで渡り、周辺の猥雑な雰囲気の異界空間も含め、芝居を見に来るお客さんを楽しませていたようです。江戸の芝居小屋は、封建社会に生まれた夢空間でしたが、現代の劇場やホールが、現代社会のひずみを融解する異界空間となれるか期待されます。

現代は格差社会とよく言われますが、その原因は、基幹の産業が縮小しているために、首都圏に労働人口を吸収できるサービス産業が縮小し、労働人口が供給過剰になってきていることではないかと思います。戦後は地方から大都市に労働人口が移動しました。今度は地方に生産を伴う産業すなわち、農業や漁業や製造業を活性化させることが最も重要で、そうならないと豊かに生きられない社会になっていると感じています。さらに地方独特の食文化と芸能文化が、地方の魅力とコミュニティを形作る重要な要素になります。
長岡の製造業の皆様頑張ってください!