ベルリン工科大学の研究者と一緒に、岐阜県の「
かしも明治座」、「
白雲座」の音響調査をしました。メンバーはベルリン工科大学のClemens Buttner氏とProf. Dr,Stefan Weinzierl、東京大学生産技術研究所の助教 森下有氏、YABのアントニオ・サンチェスと藪下 満の5名です。
9月25日(月)に横浜から車で出発し、夕方に加子母村に到着しました。その日は、「かしも明治座」で12面体無指向性スピーカによる音響測定を行い、翌日の午前中に「白雲座」で12面体無指向性スピーカおよび可聴化(Auralization)用のボックススピーカでインパルス応答の計測、さらに3Dレーザースキャンの空間測定も行い、午後はまた明治座に移動してボックススピーカによる音響測定を行いました。翌日9月27日に無事帰路につきました。
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かしも明治座の測定(1) |
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かしも明治座の測定(2) |
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白雲座の測定(1) |
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白雲座の測定(2) |
今回の測定の目的は、Clemens Buttner氏による日本の明治期以降のヨーロッパ音楽の導入期の演奏場所の音響特性の調査などです。2年ほど前には、ほぼ同じメンバーで金丸座、内子座、大隈講堂、川越鶴川座を音響調査しました。今回はその第二段となります。
以前からブログでもご紹介している通り、YABでは芝居小屋の音響調査を行っています。2011年には神奈川大学との共同研究のまとめとして、「芝居小屋の音響特性」の論文を技術報告集に報告しました。その後に、Clemens氏に会い、ベルリン工科大学との共同研究が始まりました。2014年には、ポーランドで開催されたFORUM ACOUSTICUM 2014 in KRAKOWにて、「
Acoustical Characteristics of preserved wooden style Kabuki theatres in Japan」と題して、八千代座、村国座、嘉穂劇場、金丸座、鳳凰座の音響シミュレーション結果をClemens Buttner氏、Prof. Dr,Stefan Weinzierlと神奈川大学の安田先生と藪下で発表しています。
また今年の建築学会大会では、アントニオと森下先生、Clemens氏と私で、
「川越市鶴川座の音響的復原 ―3Dレーザースキャンの応用-」と題して発表しています。芝居小屋の音響の研究が広がっていることを嬉しく思います。
私としては、芝居小屋の空間構成を現代の劇場設計に生かせないかということと、この音響特性から音声を伴う音楽にはどのような音響空間が好ましいかを今後探っていければと思っています。
今回、加子母村では、森下先生の知人の中島工務店社長の中島さんに大変お世話になりました。かしも産直売所(木造ラーメン構造)、ふれあいコミュニティ施設(木造、子供と老人施設、安藤忠雄設計)、ふれあいのやかたかしも(コミュニティ施設、在来軸組み工法の大型木造建築)、設計コンペでできた木造の加子母小学校、そして保存修理を行った明治座、またキャンプ村などを案内していただきました。また村の集落は、ほぼ同じようなスタイルの木造民家で、周辺の山々と調和していて大変好印象でした。中島工務店は木構造の最先端の技術があり、村の発展に貢献していると感じました。
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加子母明治座前で、右からステファンさん、加藤館長さん、アントニオ、森下さん、私(藪下)とクレメンスさん |