N邸は八王子市の静かな住宅街にある。
音楽学校に入学されるお嬢様のために、ツーバイフォー住宅の
1F和室8帖の部屋を、独立防音構造のピアノ室としてリフォームした。
2006年6月完成。設計・施工は株式会社マイスターが行った。
静かな住宅街でも、夜遅くまで練習可能であることを目標に
音響設計を行い、音響工事の指導も行った。
音響設計の仕様は以下のとおりである。
耐圧板の基礎の上に、コンクリートの浮床を作り、その上に既存の部分とは
独立した構造を木造でつくり、遮音構造とした。
窓は、既存のサッシはそのままに内側に更にT-2サッシの二重サッシを設けた。
リフォーム後の測定では、ピアノ室の窓の遮音性能はDr-55で、
外部には、夜間の暗騒音程度の音しか透過しないと考えられ、
夜間も近隣に影響なく演奏が可能な値となった。
真上のご両親の寝室とはDr-60となっており、
夜間でも低音が多少聞こえる程度、中音域から上の音は500Hzで
音圧レベル差が74dBあり、その帯域以上の周波数では、
ほとんど聞こえない状態となっている。
ピアノの響きに影響を与える残響時間の値は、
室内に何もない状態で0.5秒程度、各周波数ともにほぼフラットな
周波数特性が得られている。
平均吸音率は、同じく何もない状態でα=0.15であるが、
本や収納棚に物が納まると、α=0.2程度と音楽に好ましい
値になると想定され、演奏者にとっても良好な環境であると思われる。
上)測定の状況
〔八王子市N邸ピアノ室〕
設計・施工:株式会社マイスター
音響設計:YAB建築音響設計