日時:2026年5月24日(日)2時30分開演
場所:銀座王子ホール シューボックス型のホールで、客席数315席、室内楽用のホールで、聴きやすい。
演奏者:ピアニスト杉山哲雄
曲目:ベートーヴェン ソナタ第19番、ソナタ第11番、ソナタ第25番(郭公)、15の変奏曲とフーガ(エロイカ変奏曲)
アンコール曲:ベートーヴェン バガテル ハ長調 作品119.2
チラシによればピアニストの杉山哲雄は、三重県伊勢市出身で、私が東工大建築学科を1972年に卒業した時の同期の濱口さんとも伊勢市で同期なので、多分年代は私と相当近い人だ。杉山さんは、東京芸術大学大学院を卒業したあと、ウイーン音楽大学に留学し、1979年に卒業している。その後はリサイタルを中心に活動を始めたそうだ。勢いを感じる。横浜国立大学名誉教授ともあり、かつては大学の教壇に立っていたこともあったのではないかと思う。現在は杉山ムジーク・アカデミーを主催しているが、その音楽スタジオを、先ほど書いた濱口さんの建築設計、私の音響設計で、渋谷に建設した。最近では、このベートーヴェンの全ソナタ演奏会を行っているようだ。なるほど曲の説明が理論的である。このコンサートの大きな目的は、本人によれば、このベートーヴェンの全ソナタの連続コンサートは「ベートーヴェンの創作の本質に光を当てるものである。」
最初の曲はソナタ第19番ト短調で、「第一楽章は陰りのある祈りの表現と牧歌的な広がりのある第二楽章との対比」、私は特に低音部の力強い音に感激した。2曲目はソナタ第11番変ロ長調で、「豊かな楽想に和音の厚みと奥行きが加わり、、」 「柔らかい和音の刻みの乗る主題は黄昏時の色彩が伴う美しいもの」 クラシック音楽が和音を獲得して、華やかな雰囲気を形成し始めた頃のことだと思う。時には唸りを伴ったものもあったが、これは平均律による調律の問題もあるかもしれない。3曲目はソナタ第25番ト長調 “郭公”。チラシによれば「第一楽章にカッコーを連想させる音型があり、、、全体がさりげなく統一され、伸びやかな響きとリズムが自然の光景を思わせる。」 多分この自然の光景とは、日本の森の景色とは違い、のびのびとした田園の風景なのだと思う。4番目の曲は、15の変奏曲とフーガ 変ロ長調 作品35 “エロイカ変奏曲”、交響曲第3番作品55「英雄」にも用いられたことで、「エロイカ演奏曲」とよばれている。ここでも第15変奏で、「大木が枝を広げるように」と表現されている。多分このコンサートではメインの曲ではないかと思う。
今回の曲の発想は自然の風景から得られたように思う。また低音の重厚な響が強く感じが得られているように思う。ただ「創作の本質」に自ら解釈し、至ることは難しく、主は杉山さんのチラシの文章から得られたものだ。
2週間ほど前には、久元さんのベートーヴェンのピアノ ソナタ全曲演奏会の一部を聞いたばかりだ。この曲は華やかな感じがあって、同じベートーヴェンのソナタでも違った雰囲気になっている。ベートーヴェンの創作の本質は、奥が深い。
http://yab-onkyo.blogspot.com/2026/05/vol4.html
写真:演奏会閉幕後の舞台の風景