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2012/05/08

東海道最後の芝居小屋 島田市みのる座 跡地見学


2012年4月17日(火)静岡県島田市で音の測定の仕事をしました。
その後、以前から気になっていた、近くにある「みのる座」という芝居小屋の消息を見に行くことにしました。島田駅から裏道を歩いて向かい、途中で出会った人に「みのる座はまだありますか」と聞くと、「まだあるよ、後すぐだよ」と教えてくれました。しかし100mほど歩くと更地があり、通りかかった人に「みのる座はどこですか」と尋ねると、この場所にあり解体されてしまった、駐車場になるらしいとのことでした。あると期待して辿りついたのでがっかり。


残っているのは商店街のアーケードの天井にあるみのる座の看板だけでした。それにしても商店街もシャッター街となっており、かつては東海道の大井川の江戸側の(越すに越されぬ)宿場町として栄えていた場所です。また大井川で木材を運んできた林業の町でした。




更地になっていた

かつてのみのる座の入り口

看板

アーケード シャッター街

近くの古道具屋にみのる座ゆかりの寅さん




みのる座は、大正5年(1916年)に芝居小屋として開館し、昭和34年(1959年)映画館に改装、平成22年(2010年)3月10日、映画館として最後の上映会を行い、94年間の歴史に幕を閉じたそうです。その大きな原因は耐震補強とのことでした。たしかに94年もたてば老朽化し、何らかの工事が必要となり、その場合には耐震補強もして新しい建築基準法に従う必要があります。島田市では唯一の映画館だったようですが、周辺にはシネマコンプレックスもできたため、お客さんも減少していたようです。2011年9月解体されました。

岐阜から東、東京から西の東海地域では、唯一の木造の芝居小屋だった建物で、回り舞台もあったようです。それが解体されてしまいとても残念です。文化財として残す方法はなかったのでしょうか。
大正5年開館とは、四国松山近くの内子座と同じ年です。しかし内子座とはずいぶん違う運命をたどっています。内子町は古い建物なども残したきれいな街並みで、内子座とも雰囲気をあわせており、内子座もたくさん使われています。地域の人の意識に町おこしの手法について共通の認識が必要と思います。