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2012/05/08

騒音制御工学会に発表


平成24年4月24日(火)に開催された騒音制御工学会の春季研究発表会に、「高性能乾式遮音二重床の開発―実大実験棟における測定結果」と題して、共同研究者として発表しました。会場は産業技術総合研究所臨海副都心センターでした。

本研究は、昨年度建築学会大会に発表した床衝撃音対策手法を、UR都市機構とYAB建築・音響設計との共同研究として発展させたもので、目的は、高度成長期に建設された壁式構造集合住宅の居住性能改善のための乾式二重床の開発です。性能向上の目標として、重量床衝撃源(Ⅰ)であるバングマシンによる床衝撃音を、スラブ素面よりL数で10、63Hz帯域で10dB改善することを目標に行いました。
昭和40年代の集合住宅の床スラブの厚みは110mm程度です。現在は一般的には床衝撃音対策上200mm程度のスラブを用いています。インピーダンスレベルを比較するとスラブ厚の違いで床衝撃音レベルが約10dB異なります。現在行われている当時の集合住宅の改修は、風呂、キッチや壁のクロスなどで、設備的、また視覚的には改善できても、床衝撃音上の対策は従来の工法では不可能でした。

当時の床スラブはそのままで、現在の床衝撃音性能の水準まで向上させるためには、床仕上げで10dB改善する必要があります。その対策手法として、ヘルムホルツ型の共鳴器を応用したもので、画期的な性能が得られたものと考えています。昨年度は、その目標をクリアし、今年度からは実施に向けた実用的な開発実験をUR都市機構と行います。
今年の騒音制御工学会は、低周波音や環境振動の研究発表が主で、床衝撃音については本件のみでした。以前はたくさんあったのですが最近は年々減ってしまい、しかもプログラムの一番最後の講演となっていて、大会の中では期待度も低い感じです。それでもたくさんの方が最後まで聴いていてくださり感謝いたします。