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2019/09/10

2019年 建築学会大会(北陸)で発表しました

今年の建築学会大会は例年より多く、9月3日から6日までの4日間開催されました。

大会会場となるのは金沢工業大学で、私の発表は4日の午前約10時から、会場は7号館です。以下の写真の右側手前の写真の建物の4階です。



本建物は大谷幸夫(おおたにさちよ)の設計です。国立京都国際会館や沖縄コンベンションセンターの設計者として有名です。この7号館は中央が吹き抜けていて、その中をエスカレータで登っていくようになっていて、教師や学生同士のコミュニケーションの容易な形態になっています。このときも、私が廊下でトイレを探していたら、目の前を歩いていらした濱田先生が気づいて教えてくださいました。

今回は、
「ヘルムホルツ共鳴器を有する乾式遮音二重床の開発 集合住宅の改修への適用」

と題して発表させていただきました。
今まではヘルムホルツ床の開発実験ばかりの発表でしたが、今年実際の集合住宅に採用されましたのでその結果を報告いたしました。
衝撃音遮断性能は、このヘルムホルツ床を使うことで今までの二重床やスラブ素面よりもこのように向上するとグラフで示しながら述べました。

質疑応答コーナーでは、6件の講演がある床衝撃音(2)のセッションの中で、最初に会場からは本題に質問がありました。

「防振ゴムの硬度が40度で柔らかいから低減効果があるのであって、ヘルムホルツ共鳴器の効果ではないのではないか」
という質問がありました。私はそれに対して、下部開口をガムテープなどで塞ぐと共鳴周波数の部分の低減効果はなくなると説明し、防振ゴムの影響ではない説明しました。

また「防振ゴムが柔らかすぎて、たわみが大きいのではないか」との質問もありましたが、これに対しては現場の所長は少し柔らかいかなとおっしゃったと答えたところ、会場でどっと笑いが起こりました
興味をもって質問をしていただき、良い雰囲気で終えることができました。

今回使用した防振ゴムは、日東化工さんでこのために加硫して作ったもので、少量なためまだ高額です。

以下発表原稿です。

















2019/06/25

「ヘルムホルツ床」東京白金のマンション採用事例

お知らせが遅くなりましたが、URと共に開発を行い、実用化を目指してきた「ヘルムホルツ共鳴器を有する乾式遮音二重床」が、このたび港区白金の民間マンション1棟まるごとのリノベーションに採用され、今年の3月に竣工いたしました。

建物は平成10年(1998)竣工の民間の賃貸マンションでRC造4階建、15戸、スラブ厚は150mmの建物です。

URの実験では、団地を想定して床高さを140mmとしていましたが、今回の条件は床高さ100mm、しかも床下に配管を行うというものでした。そのため重量床衝撃音(ゴムボール)での改善目標は、実験時の10dBより少し低く、10dB弱に設定しました。

床衝撃音測定は、(1)旧フローリング(二重床)、(2)スラブ素面、(3)ヘルムホルツ床が張られた状態(天井無し)、そして(4)天井が張られた後の計4回行いました。

図1 住棟平面図(一部)および測定位置図

測定結果

重量床衝撃音(ゴムボール)測定結果
旧二重床 → 63Hzと125Hz帯域でスラブ素面より低下していた
ヘルムホルツ床→ 63Hz帯域で8.3dB、500Hz帯域で19.7dB、スラブ素面より改善した

軽量床衝撃音(タッピングマシン)測定結果
ヘルムホルツ床は旧二重床と比較して250Hz帯域で8.8dB改善

※天井の設置前後の変化は、ゴムボールではL値上変化はなく、タッピングマシンではL数で2dB効果があった。

図2 床衝撃音測定結果(左ゴムボール、右タッピングマシン)

ヘルムホルツ床の特徴
ヘルムホルツ共鳴機構により、床下の空気層の音圧を低減できること、面剛性が高く力が分散し変形を抑えられること、面密度が一般の二重床より大きいことなどの長所があります。

床仕上構造の設計にあたり、床仕上高さおよび床下の必要空間を設計条件として、部材の厚み、空洞部の厚み、面剛性、面密度、防振ゴム、表面材およびコスト・施工性・耐久性などを、また最後にヘルムホルツ共鳴周波数および床下空間の共鳴周波数の設定を行っています。

表1 床仕上げ表

図3 床仕様

図4 平面の基本パターン

今年の秋の建築学会にて「ヘルムホルツ共鳴器を有する乾式遮音二重床の開発 集合住宅の改修への適用」と題して発表を行う予定です。

設計および施工技術にあたり、技術士事務所 佐野英雄氏、平成ビルディング 小池豊氏、アーキジャムワークショップ 小山美智恵氏、アルファリンクス 弓削寛司氏、雨澤壮敏氏に協力を得ました。

2007/05/07

木造賃貸アパートの床衝撃音

某木造賃貸アパートの設計にあたり、設計者の方から床衝撃音についてご相談をいただき、対策を行い、先日竣工後測定を行った。
木造アパートの床衝 撃音の音響性能の目指すところは、住宅性能表示制度上の最低ランクの相当スラブ厚11cm(ばらつきを考慮したLH-65に相当)であ る。しかしこの最低ランクを一般の木造アパートで実現することは非常に難しく、木造アパートでは住宅性能表示制度で評価された例はほとんどないと考えられ る。この制度において、相当スラブ厚11cmの床構造の「みなし仕様」の例は、例えば、床側はフローリング16mm以下、モルタル厚35mm以上、パー ティクルボード厚15mmを2枚、天井側は、床と別構造で、天井を支持し、石膏ボード12.5mmを2枚張るといった重量のある仕様である。これに対し本 物件は、床はフローリング15mm、アスファルト系制振材厚8mm、ベニア厚28mmを井桁に組んだ大引の上に配置、天井は床とは別構造で、石膏ボード 12.5mmを2枚張りとなっている。これは一般的な木造アパートよりも相当重量床衝撃音対策を施した仕様であるが、それでも竣工後の2室の重量床衝撃音 の測定結果は、それぞれLH-70とLH-75となり、LH-65には今一歩必要であった。みなし仕様と比較して面密度が小さいため、目標性能には到達が 難しいことが予想できるが、面密度をこれ以上増すことは構造的にも不利であるため、なんとか床剛性を上げたり、床面で音が発生しにくい方法などで工夫をす る必要がある。
いずれにしても、木造賃貸アパートだから音響性能はどうでもいいということではなく、出来る限り性能を向上させる努力が必要と感じ ている。また本建物の大 きな特徴は、南側は大きな窓と玄関扉があるため耐震壁が設けられず、この南側だけは特殊な木造ラーメン構造となっている。平井設計工房が開発した、この新 しい工法を用いることで、壁の無い開放感のある木造の建物の設計も可能となる。

設計:平井設計工房、施工:東聖ハウスシステム

2006/08/07

マンションの乾式浮き床工法による床改修

横須賀市の某マンションにおいて、フェルト・カーペットから
竹タイルへの改修工事を行うにあたって床衝撃音性能を
現状維持とするための音響仕様の提案と、工事監理を行った。

このマンションでは、仕上げをフローリングに改修することは
許可されておらず、もし改修する場合でも、フェルト・カーペット並みの
床衝撃音性能が要求されている。
住民が希望する仕上げ材は、浴室の脱衣室の床によく用いられる
竹のすのこ(商品名:竹タイル)のような材料であるが、
通常それをコンクリートスラブの上に直に張った場合には軽量床衝撃音が
現状より大きくなり、管理規約に合致しないことになる。

そこで乾式浮き床を提案し、その上に竹タイルを張ることにし、
フェルト・カーペット並みの床衝撃音遮断性能を確保することを目指した。

結果、工事前のフェルト・カーペットの状態で床衝撃音データは
重量床衝撃音はLH-55、 軽量床衝撃音はLL-35であったが、
乾式浮き床工事後、重量床衝撃音はLH-45、軽量床衝撃音はLL-30と、
目標を満足しただけでなく大幅に向上した結果が得られた。















(写真)軽量床衝撃音実験

この乾式浮き床は床衝撃音対策としてだけでなく、
マンション内の防音室(ピアノ室など)にも応用ができると考えている。

乾式浮き床構造とは、コンクリートスラブの上に適当な大きさの
防振板ゴムを適当な間隔で置き、その上にパーティクルボードや
制振材などを何枚も重ね、おおよそ100kg/㎡の浮き構造を構成して
1次固有振動数の目標を15Hz以下とし、可聴域周波数の音を
遮断する仕組みとなっている。

今回の1次固有振動数の測定結果は無載荷で16.4Hzでほぼ
目標通り、測定結果はバングマシン、インパクトボール、
タッピングマシンともに31.5Hzより高い周波数帯域で床衝撃音が改善している。

仕上げ材は竹タイルの下にフェルトを敷いた場合と、
敷かない場合の実験を行ったが、敷かない場合の軽量床衝撃音は、
LL-40であった。
これはフェルト・カーペットの軽量床衝撃音遮断性能を下回るので、
今回の条件には当てはまらず使用できないが、LL-40は建築学会の
評価では『特級』の 評価が得られているので、一般的には
使用できる性能である。
今回の浮床工法で、この値を目標とした場合には、
フローリングや場合によっては石などの仕上げもできる可能性があると考える。

歩き心地もゆらゆら揺れるような感じではなく、しっかりとした踏み心地である。