日時:2026年7月4日(土)14時開演
場所:東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
主催:渋谷混声合唱団
曲目:シャルル・グノー作曲 レクイエム、 ガブリエル・フォーレ作曲
レクイエム
このコンサートは私の大学の同級生の渡辺さんから紹介された。
東京オペラシティコンサートホールは、1997年9月10日、柳沢孝彦の設計で、やはり柳沢孝彦(当時竹中工務店所属)が設計した第二国立劇場は着工が遅れてしまい、これに先駆けてオープンした。各席数1632席、客席は、上階を除きほぼ満席だった。客席空間は、天井が高く、三角形の特徴ある設計となっている。意匠的にはダイナミックなデザインだ。しかも木調の雰囲気で統一されている。しかし三角形の、その面は拡散性をもたらすように凹凸があり、そのため音響的には天井からの強い反射音が得られないので、どちらかといえば側方反射音が重視された設計となっている。しかし側方の壁も客席側は細かな凹凸があり、やはりそれも中・高音域で音の拡散性があり、強い音の反射は避けるようになっている。今回のレクイエムの曲に対しては、天井から遅れてくる反射音は天空からの音にも聞こえ、多分好ましい音響空間ではないかと思われる。多分クラッシク音楽に対しては、この天井からの遅れてくる反射音は、好ましい響きになると思われる。目安としてはエコーとなる50msより少し短い天井高さ。要するに50ms×340m/s=17m、すなわち天井高さはこの半分の8.5m程度がいいことになる。ただ天井高さがそれより高い場合でも側方反射音なども含めると反射音は天井だけの場合とちがってエコーにならずに聞こえるようになる。しかしこのような三角形の形状では、天井からの反射音は得られていない。また舞台の上でも、天井に一部、かなり大きな四角の音響反射面がつるされているが、大体の面は三角形の高い天井があり、舞台での演奏音がそれぞれの演奏者どうしで聞きにくくなっているような感じだ。
舞台には多くの合唱団の人々、オーケストラ、上階にはパイプオルガンがあり、舞台をすこし広げて設置していた。私の座席は舞台方向から5列であるが、その2列を舞台に変更しているようだった。したがって私の席は舞台から3列目になっている。
チラシによれば、愛する者への思慕―フランス・ロマン派音楽の巨匠たちのレクイエムという章のところで、「レクイエム」は「死者のためのミサ曲」とあり、グノーについては18889年に孫が亡くなったことを悲しみ、このレクイエムが作曲されたとのこと。しかも遺作となった。フォーレについては1885年に父親が亡くなり、これがきっかけとなりレクイエムが作曲された。結局この二つのレクイエムは時期的には同時期に作曲されている。ただしグノーは1818―1893、フォーレは1845-1992で、生まれは27年、亡くなった時は99年異なっている。ともにフランス・ロマン派音楽を代表する巨匠とあるが、わたしには特に、フォーレについては、彼の弟子はラベルになり、フォーレの雰囲気はドビュッシーやラベルのような新しい色彩的なフランス音楽を感じることができた。
コンサートが終わった後、飲み屋に行って、大学の友人たち数人と演奏していた渡辺さんが集まった。渡辺さんのおかげで、大学時代の友人たちに会うことができた。
私は舞台から3列目、目の前が舞台なので、舞台からの音が直接音としてよく聞こえたが、室内の残響音はよくわからなかったと言った。渡辺さんは、舞台の上でその他の人の唄や演奏音がよく聞こえないので、指揮者の手の動きをよく見て歌ってくださいと言われたようだ。パイプオルガンの音も前方上部、パイプオルガンがあるところから、直接音がメインの感じで聴こえてきていた(写真で示している)。したがってこのホールは、直接音と室内の後期拡散音が特徴となっていて、どちらかといえば音の明瞭性を大事にしていると言えるかもしれない。したがってコンサートははっきり聞こえてよかった。どなたかが一人のソプラノの声がよく聞こえていたとも言っていた。この音のバランスをよくとらなければいけないのがこのホールの特徴ともいえる。
渡辺さんが音楽家は周囲に影響力があるが、建築家はないねと。今回集まった我々は東工大の建築学科卒で、清家清や篠原一男には影響を受けているが、ほぼ専門が個人住宅の設計のためか、日本の人で清家清・篠原一男を知っている人はあまりいない気がする。同期には中野サンプラーザ設計で有名な日建設計の林昌二、NHK及びNHKホールを施主側から設計した浅野昭利がいる。一般的には更に知られていないかもしれない。強いて言えば建築家では日本の都市計画も発表している丹下健三ぐらいかもしれない。大昔から考えると、ヴィトルヴィウスというギリシャ時代の建築家がいる。円形劇場の設計で有名だ。中世の城やゴシックやロマネスク教会、またはイスラム教の教会を建設した建築家はどんな人だろうか?バッハやモーツアルトやベートーヴェンの時代には誰かはいただろうが名前は知られていない。ニュートンやガリレオは有名だが、建築家はどうなんだろう。日本で言えば戦国時代、たくさんの城ができたが、誰が設計したのだろう。織田信長や豊臣秀吉や徳川家康は城で有名だが、その中に建築家の名前は出てこない。桂離宮はどうなのだろう、建築家の名前は出てこない。作庭は小堀遠州、またはその弟子という話もある。この建物はグロピウスなども評価して、近代建築の見本になりえるという話もあった。近代になってガウディ(1852~1926)やコルビジェ(1887~1965)やフランク・ロイド・ライト(1867~1959)は相当有名だがそれ以降はなかなかむつかしいかも。音響技術者としては、1900年に残響時間の理論を作り出したセイビンは音響技術者の中では有名だが、世界で知られている人はそうとう少ないと思われる。それに反して音楽家で言えば、最近ではチャイコフスキーやショスタコーヴィッチ、日本で言えば、このホールの名前の由来にもなっている武満徹や、ゴジラの曲で有名な伊福部昭や、テレビ番組の赤穂浪士のテーマ曲の作曲者、芥川也寸志が有名だと思われる。多くの人々への影響力という意味では、城とか教会とか寺院、更に街など、ものとしてはあるが、それに関係した建築家個人というのはほとんど知られていない気がする。多分建築の分野に限られているからかもしれない。ただ現在日本では地球環境の変動や東北や東南海での大きな地震の予測や人口減少があり、また地方の人口減少は特に顕著になっている。その結果、農業や漁業や林業に携わる人が少なくなってしまっている。空き家も増えてきてしまっている。建物の耐震性も重要な課題だし、上下水道などのインフラも大きな課題だ。これらを考えてみると大きな課題がたくさんある。これを都市計画的な観点から提案ができればいい貢献ができると思う。最近久元神戸市長が神戸の中心部には高層ビルは都市の中心に人口が集中しすぎると言うことで禁止したとのこと。一理ある気がする。
写真:客席後部から舞台側を見る。三角形の天井が見える。しかもその表面には凹凸があり、音が拡散するようになっている。舞台一部客性上部には音響反射面がぶら下がっている。
写真:客席の前の方から客席後方の天井を見上げた。やはり三角形の天井があり、しかも凹凸があり、音の拡散性もある。