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2026/04/13

品田知章著 倭という種族  の感想

 タイトルが「倭という種族」というので、日本の起源を扱うテーマで、しかも3世紀ごろの邪馬台国や法隆寺の600年ごろの創建に百済がかかわっていることや、663年の白村江の戦いなどのことが、朝鮮半島との関係があるようなのでどう評価しているか気になって購入した。出版社は風媒社。

著者は19594月に東京大学工学部を卒業し、19996月中部電力株式会社役員退任とあり、研究者としての経験はなさそうだ。技術論文はどうしていたのだろうか。しかしよく日本書紀や唐や朝鮮の本、たとえば地理書「山海経」(紀元前34世紀)、後漢書』鮮卑伝(せんぴでん)、『三国史記』によると4世紀から5世紀にかけて、新羅と百済は“倭国と国交しているというはなしがある。今は失われている百済三書の百済記・百済新撰・百済本記、高句麗本記なども書かれている。

 倭という種族という本の内容では、一般の認識では、日本書記に書かれたものが普通の考え方で、神武天皇以来直系の天皇が支配していたように思っていたが、この本では27世紀は日本には、いくつかの種族がいて、それぞれの地域を支配していたようだ。また倭族は唐や百済や新羅の歴史にも出てくるが、種族として北九州と朝鮮半島の双方にまたがって存在していたようだ。この本では、倭族は日本書記に出てくる大和朝廷の前身のとらえ方をしているようだが、日本書記は倭国を天皇家が継続しているようにするために、倭族を大和朝廷にすり替えて変えてしまっているのではないかとのこと。多分これは新しい知見ではないかと思う。

 ただし私が気にしていた、邪馬台国の話や法隆寺の建設に百済がかかわったことや白村江の戦いがなぜ起こったかなどはほぼ書かれていない。物語になるような話は全く出てこない。史実でも倭国に関係しているものだけを羅列した感じで読み手のことは考えていない感じだ。断定的なことばも多い。列島とは日本列島、半島とは朝鮮半島のことを指すが、本書では最初を除き、それ以外はすべて列島と半島となっている。また倭国になったり倭族になったりしている。この本の内容がすっきり理解しにくい。

 本書の結論として、あとがきに書かれている。七支刀は半島の倭王に対して百済が下賜したもの、南宋に遣唐使を送ったのは九州の倭王の2点。ただし今まで本文で気にしていた内容と残念ながら印象が違う。はやり言いたかったのは日本書記に書かれている大和朝廷は倭国とすり替えがあったことではないかと考える。倭国に関して、韓国の本では日本書記と内容が異なる。



2026323日朝日新聞月曜日夕刊の1面に、「飛鳥寺と百済 甲(よろい)が残した縁」という記事が載った。日本書紀によれば、蘇我馬子が588年に、百済から僧侶や技術者の派遣を受けて飛鳥寺の建設を開始。奈良国立文化財研究所がその塔の跡を発掘し、鉄製の甲(よろい)や蛇行上の鉄器などを発見した。韓国では光州市にある公山城遺跡から鉄製や革製の甲(よろい)などが見つかり、飛鳥寺のものとよく似ていることが分かったとのこと。この話は日本書記の書かれていることを根拠に調査しているようだ。なかなか真実は難しい。