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2013/03/07

○の音場を楽しむ会Ⅲ


浜松に一昨年できた球形のピアノ室にて、音場を楽しむ会というコンサートが開催されています。竣工時と、昨年、そして今年2/11が3回目となります。集まったのは、施主のご家族、設計の大野さん、施工関係者と私の計10名ほどです。

竣工時は、球形のピアノ室での初のコンサートということで設計者として音響には期待と不安がありましたが、とても気持ちの良い音で、皆さんにも大変気にいっていただくことができました。今回も楽しみに伺いました。しかも2年点検、一区切りです。とても丁寧に使っていただいているので美しい状態が保たれていました。

コンサートを終えてから、ワインとおいしい料理で会食会が開催されました。皆さんとても親しくなっていて、音楽のこと、趣味や建築(特に大野さんが現在担当している建物など)のこと、浜松のおいしいレストランや木造の城門の建設のことなど話題も様々に楽しく過ごさせていただきました。


球形のピアノ室外観

劇場通い


今年の劇場通いは歌のコンサートから始まりました。以下最近行った公演の紹介です。


スロバキア国立オペラ公演

1月20日オペラ椿姫を、1月27日オペレッタ「メリー・ウイドゥ」を杉田劇場で見ました。
一昨年(2011年)の1月、同じスロバキア国立オペラによるラ・ボエームを見て感激し、売りだされて即切符を購入しましたが、正解、いずれも満席でした。
一流のオペラ歌手、入場料3500円、席数300の組み合わせは、なかなかオペラにはないものです。登場人物は3~4名、オーケストラはなく、舞台下手にグランドピアノ1台、後はスロバキアの人の日本語による解説、舞台装置はテーブルや椅子だけ、幕設備はなく、音響反射板設置状態による公演です。いずれも社交界を舞台にしているので、グランドオペラの華やかさには欠けるのですが、300席の劇場、舞台が近く、椿姫のヴィオレッタの悲恋やメリー・ウイドゥの億万長者の未亡人ハンナの恋がよく伝わってきます。歌声は胸を震わせるほどの響きで感動ものでした。


西方音楽館の歌のコンサート

2月17日西方音楽館に行ってきました。栃木市西方町にある、農家の納屋を改造した小さなコンサートホールです。その隣は蔵を改造してオルガンの小ホールになっています。いずれも音響設計は著名な永田穂です。建物も、古い建物をきれいに改修されています。竣工してからちょうどホールの1周年だそうです。歌はメゾソプラノ大塚道子で、日本の歌、シューベルトなどの歌曲、作曲家猪本隆の歌曲で構成されていました。席は70席だそうですが、補助の丸椅子も出して、約80名の満席でした。最後は観客も一緒に『どこかで春が』などをうたいました。観客はほとんどが女性で、合唱団に所属しているようでした。

西方音楽館 内部

西方音楽館 外観



二期会オペラ公演

2月24日東京文化会館で二期会の喜歌劇こうもりを見てきました。幕が上がると、舞台の上1mほどのところに柱で持ち上がられた状態の四角い大きな箱が設置されていて、それが館の広間と見立てられています。場面が変わる時には、横にスライドして、別の同じような箱が出てきます。オペラの筋もドタバタ劇なのですが、演出もなかなかのもので、例えば、歌手が部屋に入ってきて、窓辺にあるワインの瓶を、1m下の舞台面にうっかり落としてしまいます。その瓶はその後のワインを飲むシーンになくてはならないものようで、時々取りに行かないとつぶやき、歌手が意を決して部屋から1m下の舞台に飛び降りますが、今度は1m上の部屋に戻るのに腹が邪魔しながらも必死でよじ登ります。最初は裏方が助けなくていいのだろうかと勝手に心配までしてしまいましたが、その後何度もこのようなシーンが出てきて、演出ということが分かります。

始まりと終わりには歌手たちが観客席に現れて、舞台袖の花道から舞台に上がって行きます。またオーケストラピットも深くなく、指揮者も腰から上がよく見え、また舞台と一緒に演技もしています。舞台全体が観客席と一緒に楽しもうという意思が感じられます。
また部屋に見立てた箱も現実と異なる夢の世界を象徴している感じで、最後は紗幕が飛ばされると、箱の後ろに劇場のダクトやキャットウオークなどが見える現実の世界が見える仕掛けです。
音響的にはこの箱は声を前に出す反射板の役割もしています。声が前に出てきて2000席のホールでも大きく聞こえます。

2012/10/24

横浜ボートシアターの第1回船劇場語りの会


10月14日(日)16時より、横浜ボートシアターの第1回船劇場語りの会と題した公演が第七金星丸で開催されました。私は残念ながら打ち合わせが入ってしまい、大遅刻をしてしまいましたが、最後の語り、宮沢賢治作の『水仙月の四日』だけを聞くことができました。

松本利洋のエレキギターによる伴奏で、吉岡紗矢の語りです。音楽は、語りや演技が伴うと、それらの表現空間をより後押しする役割も大きいことを感じます。昔から歌舞伎、人形浄瑠璃やオペラ、ミュージカル等には伴奏音楽がついています。横浜ボートシアターの公演にもガムランのような音楽がついていることが多いのですが、これも効果的です。

公演の後には、お茶を飲みながらの反省会が船で行われましたが、松本さんは6つの全ての語りをほぼ即興で伴奏をしたとのこと。2度とは聴けない貴重なものです。内輪の会でしたが、お客さんもかなりいらして今後の船劇場の可能性を期待します。

キンボー指揮 神奈川フィル第284回定期演奏会


10月12日(金)横浜みなとみらいホールで行われた神奈川フィル定期演奏会に、NHKホールを設計した元NHKの浅野さんと一緒に聴いてきました。

曲目はブラームスの『ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77』後半はウエ―ベルンの『交響曲作品21』、J.シュトラウス2世の『皇帝円舞曲作品437』、ラヴェルの『ラ・ヴァルス』、今日のテーマはウイーンのようです。感動的だったのはヴァイオリン協奏曲の独奏者、韓国出身のシン・ヒョンスの演奏で、華やかで素晴らしく、拍手鳴りやみませんでした。アンコール曲は、まず自らピッチカートで伴奏を演奏し、楽団員が次々にそれを演奏し、全員が演奏したところで演奏を始める即興的で楽しい印象的な演出でした。

ウエ―ベルンの曲は、1928年ウイーンで作曲された暗い感じのものですが、それが情念になってふつふつと意思を感じるようになって行きます。『皇帝円舞曲』は華やかりしウイーンそのものです。ラヴェルの『ラ・ヴァルス』は様々な印象のワルツの曲が混ざっているちょっとイザイの無伴奏のような曲ですが、複雑で奥行きのある構成的なすばらしい曲です。

元NHKの建築家とはウイーンの建築家ハンス・ホラインと共同で、新国立劇場や東京フォーラムの設計コンペに参加したので、ウイーンも指揮者のキンボーさんもよく知っています。演奏会の後は演奏会のこと、ホールの音響のこと、キンボーさんのこと、ウイーンのことなどをつまみに一杯飲み、楽しい一晩を過ごしました。  

2012/10/22

高橋和久主演 『くれない坂の猫』



1051900、赤坂RED/THEATERで行われた『くれない坂の猫』を観ました。
赤坂RED/THEATERは、華やかなエスプラナード赤坂通りに面した赤坂グランベルホテルの地下にある劇場で、とても見やすい劇場です。そのホテルの隣は、外国人ばかりが道路まではみ出して話しながら飲んでいるロンドンやニューヨークのような雰囲気のバーがありました。

話は大阪万博の建設のころ、西向きの夕日のきれいな坂道の上にある整骨院が舞台。さえない、しかし気の良い医師がいる整骨院では、近所の人のたまり場になっています。そこへ万博の現場で働いている在日の若い労働者が、骨折したと仲間に運ばれて来ます。整骨医で働いている娘さんがその青年に恋をします。医院の周囲で西日を浴びながらゆったりしている猫に祈ると願いがかなうといううわさを信じて、彼らの未来を皆が祈ります。ユーモアとさわやかな人間性を感じた公演でした。
日本と韓国の間にも願いをかなえてくれる穏やかな『猫』が必要だと感じます。

第七金星丸主催 ダンスオムニバス『おばけ』公演



1071330 第七金星丸でのダンス公演を観ました。
タイトルの『おばけ』の意味は、大学を卒業して数年たったところで何かやってみようという人たちの集まりなので、青年が成長して『化けた』といった感じでしょうか?

5演目あり、その内3演目がダンス、1演目が演劇的ダンス、もうひとつがクセナキス作曲のドラム演奏。それぞれ質が高いものでした。演劇的ダンス『Pちゃんとボク』は自分とそれを客観的にみている自分が掛け合うほんのりとした感じのもので、舞台の下、奈落の空間も使って演出も面白かったです。最後の演目の『見えてくる』は8名がガムランの音楽に合わせて踊るもので、ちょっと幻想的です。

ふね劇場の空間は舞台と観客が一体感のある空間だということを改めて感じました。プロセニアムがないこと、舞台と観客席の床が連続していること、もちろん天井も連続しています。視覚的にも近いので演技者がよそ者でなくなります。

ふね劇場にこれほど若い人がたくさんいらしたのをはじめてみました。しかもこの日の公演は夜の部もあり、予約で満席だそうです。しかも3日間の公演でしたから、たくさんの若い人にふね劇場の魅力を知っていただけたと思います。ふね劇場も『化ける』一歩手前です。

2012/10/01

カルチェミュジコ主催 グエン・ティエン・ダオ弦楽作品コンサート



928日(金) 作曲家グエン・ティエン・ダオ(Nguyen Thien DAO)の弦楽作品のコンサートが杉並公会堂小ホールでありました。グエン・ティエン・ダオ氏は1940年ベトナムのハノイ生まれ、1953年にフランスに渡り、国立高等音楽院でメシアンに出会い、現在フランスでは有名な作曲家として活躍されているようです。チラシをいただいて急に興味をもって行くことにしました。

最初の曲は弦楽三重奏曲『梢のざわめき』、ヴァイオリン、ビオラ、チェロです。初めは細かく忙しない、しかし静かなピチカート、風の梢を揺らす葉の音、それから虫の飛んでいるような音、何か透明感のある自然を感じる音です。
次は弦楽六重奏曲1789曙、都会の通勤客の雑踏のような感じ、新しい息吹を感じました。もっとも後で調べてみると1789年はフランス革命の年、これは革命の息吹を表しているのだろうと思います。

ここで幕間。席を立つと、後ろに横浜バロック室内合奏団のバイオリニストの方がいらっしゃったので、印象的だった曲の感想を話し合いました。
後半はチェロ独奏のためのアルコ・ヴィーヴォ、弦楽四重奏曲第一番。
まず現代音楽の良くある特徴の不協和音はなく、また音は幾重にも連続していますが、ハーモニーのように音を重ねて奥行きを出すようなこともありません。こんな聞き方が正しいかどうかはわかりませんが、音や音の連続で何かを表現しているようなので、何を表現しているのか一生懸命考えながら聞いていました。音の連続はバッハの無伴奏にも近い感じがしますが、しかし振幅はより大きい。そして透明感のある風景または空間を感じます。また聴きたいと思いました。

コンサートが終わり、グエンさんは舞台に上がって演奏者を労われました。小柄で腰の低い優しそうな方でした。